アカデミー賞作品ではあるが、「コーダ あいのうた」とか「グリーンブック」あたりの幸せな映画と違って、なんとも苦いアメリカの「今」を描く。
ホームレスではない。ハウスレスとして生きる人々を描く。根無し草の不安と自由と孤独と連帯。
バランスをとっているとは言えるが、時折描かれる「自由」の部分がいささか誇張されてはいないかと、ちょっと意地悪く眉に唾をつけたくなる。自然が美しかったり、のんびりと優雅だったり。
物語は手堅く描かれるが、ドラマチックと言えるかといえば淡々と抑制されている。だからこそじんわりとそれぞれの感情が身にしみる。