2026年8月15日土曜日

『夜勤事件』-二番煎じにも程がある

 B級どころから、下手するとC級かもしれないとも思いつつ、軽く観られるホラーということで。期待していないぶん、『ロングレックス』ほどの落胆もないだろうと。

 いくつかのジャンプスケアはやめてほしいが、やはりゾクゾクする演出はないでもない。画面の端の方に何が映りそうな気配は常にある。ホラーを観ているというこちらの心構えが作る恐怖。

 とはいえやはりC級。これほどあからさまに『リング』と『呪怨』をパクっていいのか。いや、映画の問題ではなくこれは原作のゲームの問題なのだが。それにしても、映画化するにあたって工夫もほしい。こんなふうに「謎の老人」の設定を放置したりするのはやめてほしい。時間あたりのイベントを増やしてほしい。

 まずは脚本。


2026年8月14日金曜日

『劇場版 幼女戦記』-ヒトラーのいない

 テレビで新シリーズが始まるにあたって、その前日譚たる劇場版がテレビ放送された。

 約十年前の第1シーズンは観ていたが、転生についての設定と主人公のキャラクターを覚えているくらいで、戦況についての設定はまるで覚えていない。今回2時間を通して観ると、なるほど、この劇場版は独ソ戦なのだった。「連邦」の首都がモスコーで、共産主義者と呼ばれているし、「帝国」の首都はベルンだ。そう思って観ると「共産主義者は畑でとれるのか?」というような台詞が、人的資源を浪費することに躊躇のないスターリンの戦略を皮肉っているのがわかってくる。スターリン(らしき人物)とゴルバチョフ(らしき人物)が同時期にいるのは、歴史をフィクション化する妥協的な描写か。

 そのうえで、そうか、主人公はドイツ軍なのか。「大戦」を描いて、フィクションとはいえドイツに主人公をおいて大丈夫なのか?

 心配にはなったが、「帝国」というからには帝国主義的な国家なのかもしれないし、愛国心はいやというほど強調されているが、今のところファシズムのにおいはしない。ヒトラー的な人物が出てはこない。

 出てきたときに主人公がどう振る舞うかにも興味はあるが、今のところヒトラーがいないことで、「仕事」としての戦争、戦闘行為にも、かろうじてつきあえるとも言える。「合理的」を標榜しながら、案外生真面目な主人公に安心していられる。


2026年8月13日木曜日

『12か月の未来図』-地道

 岩波ホールで観たのは7年前だ。ブログではなかなかに長い文章で感想が述べてある。

 読み直してみると、今回観直した感想とまったく変わらないのだった。圧倒されるとか大感動したとは言わないが、その後に観た『型破りな教室』と比較しても、こちらの地道な描き方に、より好感を持った。

 


2026年8月9日日曜日

『Search2』-前作に引けをとらない

 『ロングレックス』があまりに不愉快だったので、一緒に観た娘と、「口直し」に、好評だった『Search』の続編を。同工異曲というでもなく、正統な続編として、前作が冒頭に引用されてもいた。

 さて今作もまた、突然失踪した家族を、主人公がネットを駆使して探すという設定は同じ。旅行先で行方不明となった母親を、女子高生が捜すのだが、本作では旅行先の出来事をPC画面で描くために、現地の「便利屋」をネットで雇って調査してしてもらう様子をリアルタイム中継するというのが新機軸だった。となればこの調査員のキャラクターが物語の味わいに大きく関係してくる。これは物語としてイイカンジに描かれていた。たぶん、不在の父親を補うバランスをとっているのだ。

 さて、驚異的な調査能力の主人公が、ネットでできる調査を次々と試行するのも、展開が意外な方向に次々と転がっていくのも、その起伏とスピード感とアイデアの豊富さは前作に引けをとらない。最後の大団円まで、最高に楽しいエンタテインメント映画だった。


2026年8月8日土曜日

『ロングレッグス』-キリスト教圏の映画

 アマプラでやたらとリコメンドされる「怖い」映画ということでタイミングが合えば観ようと思っていた。予告編はなるほど怖そうではある。

 主人公はFBIの捜査官である若い女性で、連続殺人事件を追うというのだから、どうしても『羊たちの沈黙』を思わざるを得ない。確かにそんな風に展開する。レクター博士こそ出てこないが、主人公の直感力が並外れているとか幼児期に特殊な経験をしているとか。

 だが結局、大いに不満足に終わった。また例によってキリスト教の悪魔が元凶なのだった。ホラーでこれが持ち出されるといつもがっかりしてしまうのだが、サイコサスペンスかと思って観始めたのに、敵がサタンだなんて、いい加減にしてほしい。

 加えて、何もカタルシスがない。最後のケースが解決しないばかりか、それがなんとも無策なまま手をこまねいていることに、納得できる「仕方なさ」がない。これもまた、元凶が悪魔である以上、しょうがないとでもいうのだろう。勝って終わるためには神を持ち出すしかないんだろうが、それはそれで安っぽくなるんだろうし。

 ああキリスト教圏の映画。

2026年7月21日火曜日

『夫婦別姓刑事』-佐藤二朗のすごさ

 ミステリーとしてもそこそこ面白い仕掛けはあったのだが、やはり佐藤二朗の演技が圧倒的だった。アドリブらしいユーモアと、怒りの表出の振れ幅の大きさに圧倒された。ああいうおかしみを醸し出すことにかけては大泉洋と双璧だな。

2026年7月18日土曜日

『Search』-限定された設定の中で

 突然失踪した娘を父親が捜す。それだけ言えば『96』と同じ設定だが、あちらが堂々たるアクション映画のシリーズであるのに対して、本作は映画の画面が全てPCの画面そのままであるという、極めて限定された設定がユニーク。ホラーの『Zoom』でもあったアイデアではあるが、あちらは題名通りビデオ通話の画面のみだが、こちらはPCの操作画面がまた驚くほど「見せる」。捜すという目的に対してやれることが何なのかを、主人公が探り、試し、わかった情報によって次々と試行錯誤していく展開がスリリングなのだ。

 物語の展開としても、物語が進むにつれて関係者の事件への関わり方について、次々と新たな事実が明らかになっていく。それぞれの局面で予想される「真相」が二転三転していく。

 その末に、見事にハッピーエンドに決着する。

 限定された設定の中でやれるアイデアを詰め込んだ、恐ろしくよくできた脚本だが、それを高い緊張感で描ききる演出ももちろんすごい。調べてみると『RUN 』の監督なのだった。