子供の頃に観た記憶はあるが、それが小学生なのか中学生なのかもからない。脱獄物だから、ストーリーの骨格は単純で、とにかくラストシーンの、断崖から海に飛び降りる画を覚えている。
脱獄物といえばNHKのドラマ『破獄』で、あれはまた希有なドラマだった。調べてみると放送は大学時代だから、録画もできずに放送時に観たのだったか。強い印象を受けていたところ、そのちょっと後に我が恩師となる教官が学生に薦めたい小説としてこの原作小説を挙げていたので驚きもし、その後原作も読んだのだった。
数年前に再放送されたものはさすがに録画して観た。これはまた時代を経てもまるで古びない、おそろしい手応えの作品だった。
さてさらに間隔を開けての本作は、驚くほど『破獄』と似た印象だった。そしてまたブログを繙いてみると、10年前に『ショーシャンクの空に』のことを書いた中で『破獄』と本作を並べて言及しているのだった。そう、共通テーマはやはり「不屈」なのだった。
見直してみても、スティーブ・マックイーンのタフさがすごい。タフガイのアクションスターだが、こちらはもちろん精神的な意味で。
脱獄を企てると独房に入れられる。二回の脱獄でそれぞれ2年と5年。独房というのは監視の必要よりも罰としての意味合いが強いのだろう。想像だに恐怖だ。それだけでなくその途中で、覆いをして真っ暗にされるという罰が追加される。これが精神的にどれほどの苦痛か想像するだけで怖くてたまらない。
孤独や不自由に対する苦痛だけでなく、否応なく衰えていく肉体に対する恐怖もまた。歯が抜けるシーンの怖さ。
それでも友の名を売らず、自由への意志も失わない。二度目の独房入りから解放されると既に肉体は老人となっているにもかかわらず、自由を求めることが存在そのものであるかのように次の計画を考える(この老人のメイキャップがまた見事だった。歩き方も完全に老人に見える。タフガイのアクションスターが、本当に体まで縮んだかのように。これは『破獄』の緒形拳も見事だった)。
ダブル主演のダスティン・ホフマンとの友情も感動的。可能なところでは助けようとするが、それぞれの意志は尊重しようとする。最後の流刑地で、それなりに安住しているダスティン・ホフマンが、自由への意志を失わない「パピヨン」を疎みながらも再会を喜び、自由への一歩を二人で踏み出すところでためらって別れるシーンはやはり胸が熱くなった。
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