2025年12月28日日曜日

ドラマ3本

 このクールは連続ドラマを3本。


『良いこと悪いこと』

 「良い事」なのか「良い子と」なのかが気になっていたが、もちろんどちらでもあるのだろうと思いながら見ていた。

 連続殺人をめぐって、真相が徐々に明らかになる展開は引きつけられるし、見ていてうんざりする安っぽさもなかったから最後まで見たが、主演の間宮祥太朗と新木優子が始終暗い顔をしているのはちょっと残念ではある。もっと笑顔の割合が多ければ楽しく見られたのに。連続殺人に巻き込まれ、過去の罪を告発されて、明るい顔でもないだろ、とはいえ。


『推しの殺人』

 『良いこと悪いこと』とともに、1クールに二つも「連続殺人」物を観ることになってしまったが、単になりゆき。面白いのかどうか試そうと思って録り始めたら、結局観ないまま最終回の週まで放置され、見始めたら先が気になって、3晩くらいで見終えた。12話、長いよ。

 しかし、長いと、つきあった虚構体験がそれだけで何事かの重みではある。惜しむらくはもっと面白かったら良かったのに。安っぽさにうんざりすると途中で止めるのだが、それほどのひどさもなく。とはいえ最後は、田辺桃子の熱演に拍手を送りたくなったが。

 連続殺人の重みのないのが残念。


『シナントロープ』

 『オッドタクシー』の此元和津也だからと見始めると、1話の最初の10分が神がかっている。監督の山岸聖太の演出力もすごい。脚本はむろんうまい。会話劇としても面白いのに、伏線を張って回収する構成が見事。娘と観ていたので、全く溜めることなく毎週観た。これも長いこと付き合った効用で登場人物たちに対する愛着が湧いてきて、こういうのが「物語」体験ではある。


2025年12月27日土曜日

『この動画は再生できません』-伏線回収

 テレビシリーズが通しで再放送され、それを観てからの劇場版。最初のシリーズを観てから3年、ブログには書いていないので当時の詳細を覚えていないものの、観たことは明瞭に覚えていた。ホラーなのかと思ってみていると、実は心霊現象は起こっていないという謎解きがあるミステリーが珍しい。毎回、微妙によくできているなあと思っていた。

 第2シーズンも第3シーズンも、それぞれによくできている話もあるし、観ているうちに「かが屋」のふたり、とりわけ探偵役の加賀翔の物腰に好感を覚えて、それも楽しみだった。

 劇場版は、テレビシリーズ3本分くらいのエピソードを描き、しかもそれらが絡んでくるという凝った構成になっている。「読者への挑戦」ができるほどのパズル的公正性はなく、真相がわかっていくだけのミステリーではあるが、その過程で拾い上げていく伏線の多さに感心した。

 テレビシリーズから通しで、まだ回収していない伏線もあるし、制作費も安いんだろうから、続きが作られる期待はできる。

2025年12月19日金曜日

『事実無根』ー「無根」

 縁あって、インディーの本作を観る機会があった。

 何やらの映画祭で多数の受賞歴があるというし、村田雄浩と近藤芳正というベテランを引っ張り出して、小品でも佳作であることを期待したのだが、どうも手放しで面白かったとは言いがたい。

 高評価はたぶん、何やらヒューマンな良い話ということになっているんだろうが、それはまあそう思う。最後に関係者が集まって、なんだか良い感じに和解する大団円的な展開は山田太一みたいだ。

 だが全体としてそれほどの作品と思えなかったのは、題名の「事実無根」とキャッチコピーの「嘘に翻弄された」が予想させる「藪の中」的テーマの掘り下げがまるで弱いことだ。「事実無根」などという言われれば、それが本当に「無根」なのか、どうだと「無根」だといえるのかとかいうのはなかなかに難しい問題なはずだと思ってしまうのに、そういう掘り下げがないまま、どうやら本当に、単に「無根」だと描いているようなのだ。二人の男の「嘘に翻弄された」過去が描かれるのだが、例えば村田雄浩の「冤罪」事件も、思わせぶりに相手が登場して、何か事情がありそうだとは描くのに、結局真相がどうだったのかはわからない。 それが本当に冤罪だとしたら、職を追われるような重大事なのだから、裁判で争うべきで、そうなるとその「無根」に潜む微妙さが明らかに(あるいはますます不明確に)なっていくはずなのに、そんな展開はまるでない。じゃあ思わせぶりな題名と宣伝文句は何なんだ。

 テーマの掘り下げが弱いところに強い人間ドラマが生まれるはずもなく、何となく良い話、的なぬるいムードが流れて終わる。ドラマとしても根が無い。