いや、これはアタリだった。期待以上だった。
情報源を秘匿する新聞記者と、情報源の公開を求める権力の対立は、「ジャーナリズムの社会的意義+表現の自由」vs「国家の安全保障+法律の運用」という鋭い対立をなす価値を双方十分に描き込んでいて、その葛藤は実に堅固で重量感のある手応えを感じさせるものだった。
脚本も演出も、出演者の演技、とりわけ主役のケイト・ベッキンセイルの演技も見事だった。事態が悪化していく焦燥感やぎりぎりのところで信念を貫き通そうとする意志の強さ。いい加減な安請負をする弁護士を端役で扱うのかと思っていると、これがまた誠実に仕事して、対立構造を支える。マット・ディロンの検事(刑事だったか?)も単なる敵役として薄っぺらい悪役に終わるのではなく、立派に一方の価値を体現しているのだった。
実際には単なる価値の対立だけではなく、邦題にあるとおり、後者には権力の既得権益を防衛しようとする力が働いていたり、前者には人情がからんでいたり、と不純な要素がはいるのだが、もちろんそれも物語の陰影を深める。
それにしても英題を違う英語に置き換える邦題の付け方はどうしたものだろうか。『Nothing But the Truth』(真実以外の何物でもない)がわかりやすいとは言えないが『ザ・クリミナル』がわかりやすいとも言えない。そこに「合衆国の陰謀」って? カットの関係かもしれないが、それがわかるほどにはその部分は描かれてなかったとおもうんだけど。
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