PFF(ぴあフィルムフェスティバル)2024のエンタテインメント賞受賞作品。どこにどういう佳品が眠っていることかと気になって、時折TV番組表で目につくと観てしまう。短編なのかと思って観始めると続く続く。結局2時間4分もあった。途中でやめようとは思わなかった。というか、結局面白かった。が、説明が難しい。
京都芸術大学の映画科の学生、遠藤愛海監督の卒業制作だという。物語も、そのまま、芸術大学の映画科の学生が自主映画を作る過程で不思議な出来事が起こる話。高校演劇でもしばしば演劇部が舞台になるが、同様に映画を作ろうとする学生が映画作りを題材に映画を作るのは、狭い世界に閉じこもるばかりで創造性の広がりに欠けるのではないかという懸念ももちろんある。だが、真剣に取り組んでいることにこそ、掘り下げもリアリティも愛もある、とも言える。高校演劇の演劇部ものも、やはり面白かったりもする。
大学生活を終えて、自分が社会に出ることをどう受け入れるかというテーマでは、最近観た中では『何者』を思い出してしまうが、予算規模がたぶん何十倍と違うはずのあちらにも全くひけをとらない。が、どう面白いのかが説明できない。
ひとまず「意外と」うまかったりする。お話は少々まとまりはなく、突飛でもあるが、カット編集はそつなく、それぞれの人物の感情の機微を描こうという目が確かなものだと感じる。映画的な面白さに流されていない(このあたりは最近のでいえば『時をかける少女』が比較になっている)。
そうして描かれる人物の中でも、監督役の林ひよりが、演技によるキャラクター作りと、たぶん脚本も、その迷いなくまっすぐな明るさで魅力的だったとは言える。
ヒロインのひとりである長谷川七虹も、不思議な魅力を出すことに成功していたが、これがまた演技なのか脚本なのか演出なのかわかりにくい(もちろん全部でなければならないのかもしれない)。
そうなると残るひとり、向井彩夏の主人公「ピーチ」がどうかというと、やはり彼女の感情の揺れ動きが繊細に描かれるからこそ、この物語が成立していることは間違いない。
人物たちにそれぞれ寄り添いつつ過ごす2時間が、過ぎてから思い出す時に感じる懐かしさを生んでいる。
映画という物語を生きる感覚。