2024年2月12日月曜日

『グリッドマン・ユニバース』-胸熱

 評判も良さそうだったし、劇場公開時に見に行こうかという気も無いでは無かったが、早々にアマプラに出たなあと思ってしばらく放置。娘とタイミングが合ってようやく。

 大満足と言って良い。相変わらず美術のリアリティにもうなるが、台詞回しのうまさは演出のうまさなんだろうと思わせる、実に味わい深いやりとりが続く。オフビート感とエモーショナルの両立・共存。

 何より魅力的なのは世界に対する違和感で、この世界、なんかおかしい、という気配が濃厚になってからのシークエンスは作画のレベルも極めて高く、ドキドキした。

 惜しむらくはブログ主に特撮ヒーロー趣味のないことで、愛好者にはたまらないだろう格闘シーンとか、どうでもいい。

 ただ、オールスターキャストが大集結、という展開は二つのテレビシリーズを見てきた者には胸熱だった。

2024年2月4日日曜日

『ラン・オールナイト』-気楽

 実に一ヶ月ぶりで、今年に入ってようやく2本目。本当に昨年後半から、映画を観る時間をとるのが実に難しい。録画したものがあれこれ溜まっていくばかりで、その消化を優先していると映画のようにまとまった時間を必要とする視聴ができずに毎日過ぎていく。

 ということで週末に思い切って観ようと決める。だが久しぶりなので構えずに観られる洋画を、と本作。お話は実にシリアスだが、気楽に観られるアクション映画。

 ジャウム・コレット・セラとリーアム・ニーソンといえば『アンノウン』も『トレイン・ミッション』も『フライト・ゲーム』も面白かった。一方でリーアム・ニーソンが子供を助けるために、昔の殺人術を駆使して、となれば『96時間』シリーズで、これも期待できる。

 で、展開のスピードもアクションの質も間然するところがない。実にうまい。

 どうやって決着をつけるのか見当もつかないと思っていたら、なるほど主人公が全部被って死ぬという落としどころか。

 最後の戦いがやや冗長で残念とは思ったが、最後のショットの演出は実に爽快でかっこよかったので、それも許す。

 新味はなかったが、映画リハビリには良かった。

2024年1月3日水曜日

『地球外少年少女』-圧倒的

 年末にNHKで6回に分けて放送していたが、昨年『電脳コイル』の再放送は、磯光雄の『電脳コイル』以来の新作だという本作の宣伝だったはずだ。ということで劇場版という認識だった。

 正月に帰ってきている娘とともに一気観する。


 いやはやおそろしい出来だった。ものすごく面白い。

 ストーリー展開が緊密で、ずっと先に引っ張られる。隙のない脚本に舌を巻いていると、そもそもアニメとしての描写がうまい。

 その上、AIの判断をどこまで正しいと見なすかという哲学的な問題を、ありがちな安っぽさではなく、実に真面目に扱っている。

 圧倒的なレベルの作品。寡作もいたしかたないという磯の仕事なのだった。

2023年12月31日日曜日

2023年第4クール(10-12)のアニメ

 第3クールは見たものが少なかったが、一転、第4クールはいっぱい観るものがあって、映画を観ている時間が圧迫される。というか、ちっとも映画を観ていない。

 かつ、録画したまま観ていないのもあるが、このまま年越しになりそう。


『ポーション頼みで生き延びます!』

 基本はスルーの異世界もので、かつアニメの質もかなり低レベルだったが、あにはからんやヒロインのキャラクターがすがすがしくて毎回楽しみに観てしまった。設定は限りなくチートなのだが、主人公が「ドジっ子」のように観ていてイライラするタイプではなく、むしろしっかりした現実的な判断をすることが特徴的なキャラとして設定されていて、どうやら今までヒロインを演じたことがないらしい主役の声優の起用も、そうしたしっかりキャラにはまっていて安定感があった。

 ところでこのひどいアニメの監督は「惑星のさみだれ」の監督なのだった。むべなるかな。


『ティアムーン帝国物語〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜』

 異世界転生ではないが、転生ではある。

 転生してのやり直しに対してそれなりに誠実であろうとする姿勢に好感がもてて見始めた。『ポーション頼みで』とセットで、土曜の深夜に放送されたものを日曜日に観る習慣ができて、溜めずに観たのだった。


『豚のレバーは加熱しろ』

 一つのクールで三つも転生物を見てしまうというのはどうかと思うが、ふざけた設定だと思っていたら意外なシリアス展開に見続けてしまった。後から知ったところによれば電撃文庫大賞というから「ブギーポップ」や「バッカーノ!」の末裔か。『ティアムーン帝国物語』とともに赤尾でこが1クールに2本もシリーズ構成をしている。しかも転生物を。シリーズ1巻を1クールで完結させるというゆったりの展開で、終わりの切なさも上出来だった。


『アンダーニンジャ』

 アニメーションは微妙な出来だったが、原作の面白さと声優の演技の面白さに引っ張られて見続けた。面白かったが話が全然終わっていない。といって続きがつくられたりもしなさそう。


『陰の実力者になりたくて!』

 第1シーズンに続いて、すぐにわけがわからなくなるが、「いわゆる」を相対化する視点の軽やかさが時々心地良いので結局最後まで。

 基本的には声優起用といい作画といい、金がかかっている。


『呪術廻戦』

 とりあえず渋谷事変の終わりまで。相変わらず絶望を描くのがうまいのは原作ゆずりとして、アニメーションのレベルの高いのは驚異的だった。トイレの中の格闘などは、はっきりいってハリウッドのアクションシーンを超えて世界最高峰と言って良い。


『デッドマウント・デスプレイ』

 第2クールのシーズン1は録り溜めて一気観した。それから数ヶ月経って、やはり録り溜めたままクールを終えて年を越したままにしていたのを、連休があって見始めると、展開がわからなくなっている。それでシーズン1を観直し始めたら、あれよと面白くなった。とにかく登場人物が多く、複数勢力がバトルロイヤル状態になっていくところは『デュラララ!!』譲りだ。正邪も定かではないし、利害も複雑なので簡単には先が読めない。

 いくらでも悪い奴やら人ではない者たちが出てくる中で、なんとか人間やら人間「性」やらにがんばってほしいと思ってしまう。


『地球外少年少女』

 磯光雄の久しぶりの仕事は、高いレベルの期待を全く裏切らない、驚くべき傑作なのだった。すごい。これが100億超えにならない映画興行は哀しい事態だと思いつつ、筆者も劇場には行かなかったのだった。


『葬送のフリーレン』

 冒頭の4回分だけスペシャル版の放送だったのを観たが、その後は録り溜めたまま。年を越えて2クール放送をするようだ。

2023年12月23日土曜日

『時をかけるな、恋人たち』-上田誠といえば

  上田誠の脚本でタイムマシン物といえば。

 すっかり録り溜めて、放送が終わってから一気観。

 毎回、演出の軽やかさと、瑛太と吉岡里帆の達者な演技で、楽しくも観ていられたし、伏線回収の鮮やかさはさすがの上田誠だった。

 楽しかった。これもカンテレなのか!


2023年12月3日日曜日

『春の一族』-山田太一追悼

 山田太一追悼。

 関わらないでいることの楽さと、関わることの喜びに踏み出す勇気と、というテーマが全面に出過ぎているとも思えたが、全体としては微妙な感情の拾い上げ方はさすがの山田節だった。

 それにしてもちょうど30年前に、こうして中年の恋どころか、老人の恋心さえ描いていたのか。

 あらためて感慨深い。

2023年12月2日土曜日

『スポットライト 世紀のスクープ』-アメリカ社会にとって

 手堅い社会派映画で、「問題」の捉え方も、ジャーナリズムの社会的役割も、組織の論理に左右される人間の選択の難しさも実によく描いている。

 が、ものすごく面白いかといえばそうでもない。こういうのは難しい。面白さがどこから生ずるのかというのは。

 アカデミー賞で作品賞だというのだが、この年に『ルーム』がノミネートだと聞くと、評価は人それぞれだと思う。いや、もちろん優れた映画ではある。アカデミー賞としてはこれを第一に推すというのもわかる。アメリカ社会にとってはそれだけの重要性を持った映画なのだろう。

 だが、その物語が自分にとってどんな意味があるのか、とか、その物語に触れている時間や、それから後で思い返すその物語の世界がどんなものだったのか、といった物語の「面白さ」は作品の客観的なレベルとはまた違ったところにあるのだ。