2019年11月18日月曜日

『パズル(原題『Ruin Me』)』-ありがちなビデオスルーのホラー

 同名の邦画もあるらしいが、こちらは『Ruin Me』という原題のB級洋画ホラー。原題ではわかりにくいとはいえ、『パズル』的要素はごくわずか、おまけにジャケットも内容を全然反映してないじゃん、とはネットでも散々言われていることではあるが、ビデオスルーの低予算ホラーにありがちな。
 ホラー映画っぽいシチュエーションを楽しめるキャンプという企画に参加してみると、ほんとに連続殺人が起こって…という、まあありがちかもしれないが愉しいジャンルではある。テレビドラマとしては合格点かもしれないというくらいには愉しかった。
 が、まあもうちょっとヒロインに可愛い女優を選べなかったかと、不思議ですらある。

2019年11月15日金曜日

『金融腐食列島 呪縛』-クオリティは高いが満足度はいまいち。

 原田眞人監督作品ということで、期待しつつ。
 情報量が多い、というか避けようもなくわかりにくい。この感じは『関ヶ原』にも通じる。が、『関ヶ原』よりはよほど観られる。
 メガバンクの、再生へ向けての若手の奮闘を、臨場感も緊迫感充分に描いている。
 しかし、この手の群像劇で、問題の複雑さや微妙さ、男の決断の重さなどを描くには、横山秀夫原作の、例えば『クライマーズ・ハイ』や『64』の、どちらかといえば映画よりもNHKのドラマの方が上か、とも思う。これは原作の問題。
 映画としていつもの原田クオリティだが、いくつかの場面で、いささかお芝居が過ぎる、とも思った。雨の中をスーツで走る、とか、上層部に若手が詰め寄るときに、周囲をぐるぐると歩き回る、とか。
 ドラマティックであることと重厚感が反作用する。
 ということでクオリティは高いが満足度はいまいち。

2019年11月13日水曜日

『Get out』-受け止める姿勢作りに失敗

 黒人男性が、白人の女性の実家に招かれて感じる居心地の悪さが描かれているらしいとの事前情報で観始める。「出て行け」とは、白人コミュニティから主人公が言われる台詞かと予想される。
 なるほど、よくできている。ものすごく面白かったとは言わないが、監督による解説音声で観直してみると、あれこれ、よく考えられているのだった。伏線が細かく張られていて、気が利いている。
 微妙な居心地の悪さを演出するのもうまい。
 題名も、ダブルミーニングが効いているから、これがわかりにくいからと妙な邦題にしなかった判断は良かった。
 だが充分に恐いとは思えなかった。よくできているのに、なぜだろうと考えてみると、つまりどういう映画なのかが最後近くまでわからず、受け止める構えができなかったのだ。
 一方でそれが売りでもある。どんでん返しとしては、ジャンル毎ひっくり返す力業を狙っている。
 だが、ホラー映画として「安心して」見られない分、怖がって良いのか、観客としての姿勢が決めきれない。
 そこには、基本的な設定の荒唐無稽さのレベルに戸惑ってしまった、ということもある。オカルトなのかサイコなのかは、受け止める姿勢に大きな影響を及ぼすのだ。どちらでもないトンデモ設定に戸惑ったまま最後まで観てしまった。
 といってネタバレされてから観るのもなあ。

2019年11月6日水曜日

『ドリーム・キャッチャー』-意外と好きな人が多いらしい

 観たことがあるという記憶はある。が内容は思い出せない。こういうのが面白いはずはないのだが、それを確認するために観てみる。
 やはり面白くない。確かにネットで褒める人がいる、ダディッツの母親の場面は感動的だったし、「記憶倉庫」の映像化も良かった。森の中を動物たちが走る画も綺麗だった。
 だがやはり、主人公グループのうち半分が活躍するでもなく死んでしまうとか、軍人二人がエイリアン退治に関係なく殺し合ってしまうとか、不満が多すぎる。それに意味あるように描かれているわけでもなく、単に物語上の不備としてしか感じられない。満足感に乏しい。
 とはいえ、テレビ放送はかなり多くのカットをしているので、ノーカットで観れば物語的な欠落感はもうちょっと軽減するかも。
 それにしても子供時代の場面は、なんと『It』であることか! 『スタンド・バイ・ミー』でもあるんだろうけど、やはり去年観た『It』と重ねてしまった。いじめっ子どもから、いじめられている子を助けて仲間にする主人公グループ。なんでいじめっ子はアメフト選手なんだろう? スティーブン・キングのコンプレックスか何かか?

2019年10月31日木曜日

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』-「スーパーマン」映画の不満

 ザック・スナイダーの「スーパーマン」映画、『マン・オブ・スティール』の続編なのだが、結論としては『マン・オブ・スティール』と同じ不満を感じた。スーパーマンと対立するバットマンやレックス・ルーサーJr.の動機も、充分に説得的とは感じられなかったし。
 ということで見所はバットマンと悪漢達の大立ち回り。バットマンの重量感とスピード感が素晴らしい。

2019年10月17日木曜日

『エスケープ・フロム・LA』-B級の味わい

 ジョン・カーペンターはもちろん『遊星からの物体X』だが、『ゴースト・オブ・マーズ』も、低予算ながら妙に盛り上がって面白かった覚えがあるし、テレビ放送なら。
 前世紀の映画にしてはCGががんばっているとはいえ、『ブレード・ランナー』のような、それより遙か前の映画があれだけの画面を作っているところをみると、やっぱりジョン・カーペンターってのはB級映画職人なんだろうなあ、と思う。
 でもやはり職人なのだ。なるほど、映画ファンが喜びそうな要素はいっぱいある。荒廃した未来のL.Aの街は、『ブレード・ランナー』よりは安っぽいとはいえ猥雑な映画的わくわく感を湛えているし、カート・ラッセルはふてぶてしい魅力で溢れかえっている。ステルス・スーツだとかいう黒い皮みたいな袖なしシャツもコートも決まっている。
 どういうわけで出てくることになったのか謎なピーター・フォンダと謎の波乗りをするところも、実にB級映画的高揚感だ。怪しい臓器売買業者(役所かも)も、これでもかと撃たれる銃もB級の味わいだ。地球上から電気的なエネルギーを無効化してしまうという無茶な結末も、カート・ラッセルの無茶ぶりによって成立しているが、とんでもない大災害、大惨事を引き起こしたはずで、そんなのどうでもいいと思えるところがB級だ。

2019年10月14日月曜日

『トーナメント(原題「Midnighters」)』-小品として満足

 TSUTAYAの棚で予備知識なしにパッケージの紹介だけで選ぶ。どうもSSSらしいのと、どこやらの小さな映画祭であれこれ受賞しているらしいのと、監督が「ウォーキングデッド」の監督だというので決める。
 さて、やはり低予算で作られている感じはありありだが、悪くない。必要なサスペンスは盛り込まれているし、許しがたいような不自然な登場人物の行動や演出はない。何よりラストのドンデン返しが見事で、こういう小品としては満足のいく鑑賞後感だった。
 それにしても毎度、邦題なのに英語という謎の販売戦略。ネットでも「どこがトーナメント」だというつっこみと、パッケージが内容とまるで違うという突っ込みが満載だが、まあ作品が良ければいいんじゃない? 邦題も、終わりまで見ると、ぎりぎり『トーナメント』とつけたくなった思考はわからないでもない。
 ところで結局わからないままの場面が二つあったのが気になった。

・主人公の夫が、死体の歯をハンマーで欠いて取り出す
・ロッジで荷物の受け取りを待っている間に、ロッジの前に自動車が意味ありげに止まる

 回収しきれなかった伏線だろうか。それなら編集の段階でカットしてもいいんだろうし。そうするとこちらが読み取れてないだけか。それはそれで許せない気もするし。

 ところで、「ウォーキング・デッド」の監督だという件は調べてみると意外なことがわかった。どうせ各話監督が違うんだから、フランク・ダラボン以外は知らないうえにどの人も立派な仕事をしている、というくらいにしかわからないのだが、本作の監督ジュリアス・ラムゼイが監督しているのは、シーズン4の12話「本気の杯(「Still」)」という、とりわけ好きで、観直してさえいるというエピソードだった。
 このエピソードに敬意を払うということで本作を観る価値は充分にあったのだった。