2019年7月24日水曜日

『聲の形』-追悼ではないが

 帰省した娘と、以前途中から観たことのある本作を、冒頭から通して。
 原作も読んでいるので、同じ感想の所はある。なぜあの人たちはああも感情過多なのか、といううんざり感。主人公二人の自殺未遂に、まるで共感できない。
 一方で、作画は終始見事だった。美術も動きも止め画としての人物も。
 そして、感情過多にうんざりするのと相反して、細やかな感情を実に見事に描き出していることにも感心した。山田尚子は『氷菓』中の1話の演出が他の回に比べて平板だったことから評価が低かったのだが、本作を見る限り、やはり優れたアニメーション作家だと思わざるをえない。
 そして、前回後半だけ観た時と同じく、文化祭の人混みの群衆全員の顔に貼り付けられた×印が一斉に剥がれ落ちるカットは、作画といい、間といい、実に感動的だ。
 このタイミングで本作を観たことに、特別に先日の事件の追悼というような意味はないのだが、この作品に関わった何名かの命が失われたこともおそらく間違いないのだろうと思うと、やはりいたましい。

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