懐かしのNHKの少年ドラマシリーズだし、たぶん原作も読んでいるのだが、完全に『なぞの転校生』と混同していた。しかし大林宣彦の角川映画はやはりこちらなのだった。そういえばあれは本当にひどくて、作り手の正気を疑うほどだと当時思ったが、今観てもそう思うのだろうか。
さて、本作は中途半端なSF設定に、学校への携帯電話持ち込みの是非を大仰なテーマとしてからめ、全体は思春期の少年少女の恋愛物語という、これもまた大林とは別の方向に迷走した作品だった。
一方で美術の自然描写は美しく、やたらと花びらが画面に流れ、虹色の光が差し、人物の動きは作画の質が高い。つまりアニメーション映画としてはきわめて完成度が高い。
さらにまた一方で人物の描写は、あきれるようなアニメ的デフォルメ過多な演出がされている。感情の動きが極端で現実感がない割に、実に精妙に、繊細に描かれている。滑稽だったり胸キュンだったり。こういうのを、気持ちが悪いとは感じないのだろうか、中村亮介は。本人がそれを作りたいと望んでいるのか、そういうのをファンが求めているはずだと思っているのか。どうも謎だ。
大林宣彦のは本人の趣味なんだろうけど。
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