2017年9月17日日曜日

『少年たちは花火を横から見たかった』-思い出のように

 この間『打ち上げ花火 下から見るか? 横から見るか?』を観に行った晩、怒りのあまり、一緒に観に行った娘と、家で原作の岩井俊二版『打ち上げ花火~」を観たのだった。ずいぶん久しぶりだったが、あらためて良い映画だと思えた。会話のテンポは、子役たちの演技のせいでもあるが、編集のせいでもある。あらためてアニメ版の編集の下手さが実感されたのだった。

 その後で、十数年前に一度見たきりの『少年たちは花火を横から見たかった』を見直したくなって、レンタルしてきた。
 撮影から6年余り経って、20歳直前の山崎裕太と奥菜恵が、ロケ地を訪れて当時の撮影を振り返るドキュメンタリー。プロデューサーや岩井俊二自身のインタビューもあわせて、『打ち上げ花火~』がどんなふうに作られたのかがわかるのは興味深い。
 とりわけ、先日はからずも「奇跡のような」と形容した、あのプールのシーンが、本当に奇跡のように出来上がったのだと知らされるくだりは感動的だった。
 そして、出演者たちも言うとおり、「あの夏」が、何か実際に体験した思い出のように感じられる、というのが『打ち上げ花火~』という映画の感触なのだと、あらためて胸におちたのだった。
 そうしたあの映画の魅力をあれほどまでに否定してしまったアニメ版の罪は、繰り返して言うが、重い。

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