2025年1月4日土曜日

『ターミネーター ニューフェイト』―自然なAI

 AIがテーマの物語が偶然続いた。

 同テーマの物語としては比較的古い部類になる。といって、80年代当時でも、AI(という言葉は一般的ではなかった。「人工知能」とさえ言っていたかどうか)による人類に対する反乱という設定は新鮮ではなかった。どこかで聞いていた設定だと思った。それは、ロボットがSFに登場して以来、ロボットに対する虐待や人権は意識されていたからだろう。それが反乱への恐れに変わるのは必然だ。

 だが『ターミネーター』シリーズの面白さはもはやそうしたテーマの問題ではない。シンプルな逃走と闘争のスリルとサスペンスの出来だ。そうした意味では『2』が最高で『1』と『3』がそれに次いで、どれも水準以上だった。本作もそれに迫る出来だった。展開のスピード感もスリルも。

 それに加えて、本作ではオリジナルのリンダ・ハミルトンとアーノルド・シュワルツネッカーがそのまま同じ役で出演しているのが、『1』から観ている者にとっては感慨深い。二人とも年を取った。『1』『2』のシュワルツネッカーの圧倒的な強さが衰えたことにも味わいがある。そこに、AIが人間みたいになっていることへのウンザリ感が消化されている。シュワルツネッカー演ずる元ターミネーターがどう感じていようが、人間の方がそれに対して人間のような愛着を感じてしまうことはありうるのだという事態が、説得力をもっていた。『アイの歌声を』との違いは、AIを過剰に奇矯な振る舞いと共に描かないことかもしれない。

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