最初のうち、カットの長さが『箪笥』を連想させる。うんざりしつつもそこを堪えてしばらくすると映画としての面白さがわかるカットが増えてきて、後半は楽しく観られる。といって、最初のうちのカットの長さにどういう意味があるのかは結局わからない。序盤、もっとサクサク話を進めてほしいと今も思う。
意外な展開が、意外性の驚きを与えてくれる。えっ、そうなるの? という驚きが何度も訪れる。
だがまあそこが主旨ではないかもしれない。といって何を「意味」として受け取ればいいかは判然としない。
ジワジワと感じられてくるのは、長い時間が経って、何かの執着を忘れてしまうことの喪失感、といったようなものだ。女の幽霊の「長い間待っていて、何を待っていたのかを忘れた」という台詞。そして後の場面で「多分もう来ない」と悟ったとたんに消えてしまう(成仏したということか)。
基本的には主人公の幽霊についても同じ感情を喚起される、ということでいいのだろうか?
恐るべき低予算だそうだが、こういう、よく考えられた作品は楽しい。
0 件のコメント:
コメントを投稿