戦後、誰も住んでいない屋敷とその敷地を再開発のために自治体が買い取りたいというので、家主の子孫が一堂に集められる。面識も交流もない親戚同士から、代表4名が、80年ぶりに屋敷に入る。入ってみると壁一面の写真と、印象派らしき絵画を発見する。これが予告編でもわかるとおりクロード・モネのまだ知られていない絵画だったいうのが顛末なのだが、その事情を調査をする現在編と、それを現在進行形で語られる過去編が交互に展開する。
序盤から、これは良い映画だという手触りが始終感じられて心地良い。親戚代表の4人のそれぞれの人生が次第に交差していくドラマと、そこに100年以上前に生きた家主のドラマが重層する。さまざまな苦さと喜びが重奏する。
その切り替えは映画的楽しさに満ちていて、例えば100年前のパリの街角でヒロインが角を曲がって姿を消したと思うと、直後にその陰から現代のジョガーが姿を現す。こんなことはパリだからできるのだろう。東京ではこんなことができる街角が見つかるかどうか。
細部までよく考えられていて、弛緩したところがない。親戚のZoom会議で一人が猫のアバターになっていて、孫娘が設定したのだが直し方がわからない、などというユーモアもちりばめられている。カメラの切り替えがわかって現れたのは怒りっぱい老人だったりするのもユーモラスだ。
100年以上前に懸命に生きたヒロインと、これまたそれぞれに人生を生きるその子孫たちの悲喜こもごもが、最後には幸せな気分にさせてくれる良い映画だった。