2025年2月28日金曜日

『マイ・インターン』-ハートウォーミングなコメディという枠組み

 ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイの共演で、アン・ハサウェイがデ・ニーロのインターンになる話なのだと思って観始めると、予想に反して、アン・ハサウェイの女社長に、デ・ニーロの隠居さんが、インターンとして再就職するというお話なのだった。

 どちらであれ、予想されるハートウォーミングなコメディという枠組みからはみ出ない。その範囲ではとても楽しい映画だった。微妙なすれ違いもありながら、信頼を醸成し、徐々に距離を縮める。笑いどころも、ワクワクする動きのある展開もある。少女が、ピンクの服を着たあの子と指さす方向を見ると、遊具に群がる子供たちがみんなピンクの服を着ている、とか、鍵は植木鉢の下にあるはずだからすぐに見つかると予告して、行ってみると植木鉢が数十個あるとか、同じパターンの笑いを誘って、ちゃんと成功しているのは、一人で見ていたのではなく、娘と一緒に観ていたからかもしれない。

 親子ほどの年の差だが、既婚者であるアン・ハサウェイとデ・ニーロの恋愛が描かれる可能性について、観客は予想する。デ・ニーロの家族は描かれない。そのうち、配偶者が亡くなっていることが語られる。方やアン・ハサウェイの夫の浮気が語られる。出張先のホテルで、アン・ハサウェイの部屋にデ・ニーロが招き入れられ、二人でベッドで語らう。

 確かにそういう可能性について映画は観客を誘導する。だが結局、デ・ニーロはインターン先の会社に、似つかわしい相手を見つけ、アン・ハサウェイは夫と和解する。

 ハートウォーミングなコメディという枠組みは守られるのだった。

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