2023年4月1日土曜日

2023年第1クール(1-3)のアニメ

『陰の実力者になりたくて!』

 途中から気を抜いているうちに設定についていけないところがあったが、俯瞰した視線の軽やかさと作画の水準が決定的には落ちなかったことから、結局2クール分につきあってしまった。

 こういうの「俺強え」系というのだろうか。


『異世界おじさん』

 放送が不定期になり、結局最終回はアマプラで観た。異世界物のパロディになっているギャグが毎度楽しくて、溜めずにどんどん観ていたのだが、主人公の「おじさん」を子安武人が演じているのも、二枚目半な味わいを出していて良かった。


『転生王女と天才令嬢の魔法革命』

 異世界転生物だわ剣と魔法と魔獣は出てくるわで、ほとんどはパスするのだが、初回の作画が良かったので観始めて、結局1クール観てしまった。面白かったかといえばそうでもない。どこが『転生』なのかと思っていたら、主人公にはそういう異世界の記憶のあることが最終回で触れられて、だからどうだということもない。なぜこう無理矢理「転生」にしたがるのか。


『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』

 あまりにご都合主義的な展開が呆れるばかりなのだが、可愛い話でもあった。


『ブルーロック』

 サッカーの虎の穴に入ってのしあがるという、トーナメントとリーグ戦のまざったようなゲーム展開には基本的に燃えさせる構造があるのだが、その過程で、いちいちそうなることに理屈を立てようという心意気が見えるところが好ましい。何となく勝てる、ではなく、こういう工夫をしたから成功する、といった説明をしようという姿勢が。

 毎回娘と観ては、スポーツ観戦をするかのように楽しんだのは「ハイキュー!」以来。


『トモちゃんは女の子!』

 原作マンガのファンで、最初の2回目くらいまでは実に原作の味わいが楽しかったのだが、徐々にアニメの通常モードになってきて、面白さが半減した。原作の面白さというのはまた表現が難しいのだが、ウブな二人の恋愛をめぐるドタバタギャグの合間に、シリアスな本音がちらちらと見え隠れするバランス感覚、というか。


『異世界のんびり農家』

 異世界に転生して万能の農具を手にする主人公という、これもまた単に都合の良いことばかりが起こる異世界物なのだが、題名にもある「のんびり」な味わいが楽しくて、毎回溜めずに観た。


『大雪海のカイナ』

 弐瓶勉原作、ポリゴン・ピクチュアズの設立40周年記念作品というので期待して観始めると、美しいビジュアルが期待に応える。が、すぐに世界観は『ナウシカ』の二番煎じだとわかる。人類が滅びつつある世界で、古代の文明(我々の文明)の遺跡が残っているばかりで人々は中世のような文明レベルになっている。それでも残った国は戦争をして、古代の超兵器が戦況を決定し…。

 ま、オリジナリティは二の次でもいい。それでも面白くなればいいのだが、ずっと退屈なままで、かつとにかく人間の描き方があまりにひどくて、途中ですっかりうんざりしつつ、決着を見届けるために見続けた。その決着もあまりに人を舐めた低レベルな和平がおとずれて、腹を立てているとそのまま劇場版の宣伝。それがなかなか気になるのでまた腹が立つ。


『TRIGUN STAMPEDE』は3Dアニメの絵の密度が高くて捨てがたいが、原作も読むのがとにかくシンドかったので、こちらも録画したまま観ずに溜めている。保留。

2023年3月31日金曜日

『メランコリック』-磯崎義知という役者

 amazonプライムビデオで再三宣伝が浮上するので気にはなっていた。主人公の30歳ニートがバイトを始めた風呂屋が、実は夜になるとヤクザの人殺しの場所として利用されていて…という設定は、どうなるのか気になる。

 観始めると、役者が実に達者で観られる。演出の確かさでもある。場面場面がいちいち映画的というかドラマ的というか、描写として質が高い。ヤクザも風呂屋主人も同僚も、良い人なのか恐い人なのか、その「どちらにころぶかわからない」人物像が実に巧く描かれていて、観ていて集中力が殺がれない。

 そしてそれらの役者すべてが、聞いたことも観たこともない人ばかりなのは『カメラを止めるな』以来の驚きで、監督も長編デビュー作だというのも驚く。といってインディーな邦画にありがちな、無駄に観念的な長回しもない。ドラマがちゃんと展開していく。

 アマプラでのジャンルは「サスペンス・コメディ」となっているから、恐いばかりではない。オフビートなユーモアも盛り込まれている。

 とはいえ物語としては、ファンタジーと宣言していないのにまるで現実離れしたお花畑のハッピーエンドになったのはびっくりした。ここに鼻白んてしまえばネットの低評価もむべなるかな。ヤクザに脅されている状況を打破するために殺してしまおうというのだが、現実にはそのヤクザをとりまく利害の関連があって、一人だけ殺してどうにかなるものではなかろう。まして警察の捜査がどうして及ばないのかがまったく説明されない。

 それでもだ、観ている途中途中の面白さの方が勝っている。

 とりわけ風呂屋のバイト同僚で、実は殺し屋の松本君のキャラクターが実に魅力的だった。ためらいなく人を殺す冷徹さと周囲の者に対する律儀さが同居していて、飄々とした物腰。演じた磯崎義知という役者は実に素晴らしく、今後彼の仕事を発見するのが楽しみになった。


2023年3月27日月曜日

『プロメア』-疲れる

 『グレンラガン』は見ていなかったが、評判だけは後から聞いていた。『キルラキル』は再放送で見た。劇場版ということできっと質が高いのだろうと思われる本作も、いずれは、と思っていた。

 さてどうだったかというと、やはりアニメーションのレベルは高いのだが、ちっとも面白くなかった。物語は権力悪対レジスタンスという単純な構図を出ない。ほとんどの価値はアクションなのだろうが、それから受ける快感よりも、目が疲れるばかりで状況を正確に把握できない部分がやたらとできてしまうのは劇場版の『エヴァンゲリオン』と同じくストレスの方が勝っていた。

 いや、観る姿勢としての集中力によってはもうちょっと好評価になりうるのかもしれないが。

2023年3月26日日曜日

『ハードコア』-全編一人称カメラ

 全編一人称カメラという試みが売りのSFアクション。超能力を操り、謎の組織を率いる悪役と、そこに改造されたサイボーグの主人公が闘う設定は『仮面ライダー』だ。敵のサイボーグたちに比べてなぜ主人公だけがとりわけ強いのかは謎だが、まあストーリーはどうでも良い映画だった。とにかくその撮影方法にだけ興味が湧く映画であり、それだけだった。そこについては、パルクールを使った撮影や、カーチェイスとからめた撮影など、おそろしくサスペンスフルな場面があちこちにあって、かなり感心した。銃撃戦も含めて、撮影には相当な手間がかかっているのがわかる。

 とはいえまあそれだけ、でもある。主人公に感情移入するわけでなし、最近『Swallow』で観たばかりのヘイリー・ベネットが出ていたが、こちらではそれほど魅力的とは言い難い単なる美人の悪女キャラでしかなかった。

 途中、野生の馬を捕まえて、それで敵を追いかける展開になりそうになって『荒野の七人』のテーマが勇壮に鳴り響いて、さてと思ったとたんに落馬して馬だけ走り去るというユーモアにはニヤリとさせられたが。

『キャメラを止めるな』-邦画リメイク

 『カメラを止めるな』のフランス版リメイク。邦画を海外でリメイクするというのは『七人の侍』や『貞子』『呪怨』以外にどれくらいあるんだろう。それだけ海外の人の目に触れる機会が増えるのは嬉しいとはいえ、面白いかと言えば原作並みとも言えない。劇中で、日本のドラマのリメイクであることが設定として明かされており、それは例の劇中劇の部分についてのみだから、中途半端にメタではある。とはいえいくらかのギャグのネタにはなっているが、大して効果的なわけではない。

 でもまあ先を知っていると、最初のワンカットパートでも、あちこちニヤニヤしてしまうのだった。


2023年3月24日金曜日

『クワイエット・プレイス2』-また八分目

 『ドント・ブリーズ』に続いて、こちらも続編を。そしてまたもや第一作に比べると八分目くらい。

 それでも相当に良くできている。どちらも1作目のレベルが高いのだ。続編にも不満はない。

 エイリアン侵略の初日を描く冒頭のシークエンスから、もううまい。ゆっくり不安を高めていって、くるぞくるぞと思わせておいてそれがくるスピード感がたっぷり感じられるような撮影になっている(エイリアンそのものはCGだとしても)。逃げ回る人々と車の錯綜する市街地をカメラが縦横に動き回る。

 1作目に足りないのは、やはり1作目で死んだ父親の存在がないことか。

2023年3月22日水曜日

『ドント・ブリーズ2』-腹八分目

 1作目は映画館で観たのだった。面白かった。さて続編は。

 悪くなかった。だが1作目のような工夫は全体として減衰している。あちらは「満腹」だったが、こちらは八分目くらい。1作目は盲目の軍人が敵方だったのが、本作では主人公側になっているところで、脅威として弱くなっているのだろうか。盲目の軍人に育てられた娘が、サバイバル能力を活かして逃げ回る展開はかなり巧く描かれていたが。