2015年3月8日日曜日

『川の底からこんにちは』

 最近は、初回以来、全くテンションを落とさない驚異的な『問題のあるレストラン』と、その宣伝のために再放送している『最高の離婚』の坂元裕二脚本の二作品と、受験が終わってリビングに長居することができるようになった娘と見始めた『THE WALKING DEAD』のシーズン3を見ついでいて、まとめて映画を観る時間をとれないのだが、その隙間を縫って、録画されているものを消化する。
 例によって事前情報なしの『川の底からこんにちは』。
 最初の方をしばらく観て、なんだこの脱力系の映画は、と、いったん止めて情報を集める。
 『舟を編む』は映画、原作ともに未見、未読だが、あれだけの評価なのだからそれなりなんだろうという期待もある。で、その石井裕也監督のデビュー作だというので続けて観てみた。
 だが、どうにもだめだった。これはきっと相性だ。ネットでは高評価の人も多い。誰の、どんな欲求に応えているんだろうなあ。どうもわからん。
 「しょうがない」という諦めの閉塞感から「しょうがない」から「がんばるしかない」という転換をするところにうまく気持ちが乗れれば面白く感じるんだろうと思うのだが、そこが乗れなかった。ただ言ってるだけ、という感じが拭えず。そういう、努力による事態の好転を説得力をもって描くのはきわめて難しいのだが、それができれば、そういう物語は大歓迎なのだが。
 もうひとつは、わざとハズしたギャグが面白いかどうかだが、これもまるで求めていない。この感じは『Party7』のどうしようもなさだ。
 ということで、相性、相性。

 ただ、最近「ウェディング・マッチ」「ごめんね青春」で、我が家での評価がうなぎのぼりの満島ひかりにかろうじて救われてはいた。強い感情を放出して、なおかつ観る者をそれにシンクロさせてしまうのが良い役者の条件のひとつなんだろうが、それができる人だ。そうした「熱演」を目指して空回りの絶叫系演技をしてしまう役者も多い中で。
 もちろんそれはそれを支える脚本と演出あってのことだが。それでもこの映画に関してはこの脚本と演出のひどさにもかかわらず、かろうじて満島ひかりが演技自体の力で無理矢理エネルギーを放出しているかのような印象があった。

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