2015年3月9日月曜日

『Tightrope』

 映画『タイトロープ』。といってもクリント・イーストウッドのではない。前田日明がプロデュースしている格闘技イベント「THE OUTSIDER」の選手たちを追ったドキュメンタリー映画だ。「THE OUTSIDER」を見続けている(まあDVDレンタルでのみ、だが)身としては気になって、観てみた。
 面白かった。感動的だったとか、すごい、とかいうほどではないが、ドキュメンタリーをみる満足感は充分感じさせてくれた。
 強い感情の発露が観る者の心を動かす、ということは無論ある。そういう瞬間が捉えられれば、ドキュメンタリー作品はとりあえず成功だ(そういう瞬間をカメラが捉えるのはたぶん、難しい)。
 だがさらにいえば、平たく言えば「それぞれの人にはそれぞれの人生がある」である。スポーツ観戦をするにも、それぞれの選手の背景がわかると思い入れも深くなる。応援したり勝って喜んだり負けて悔しくなったり。「THE OUTSIDER」のDVDでも、試合の映像の前にはそれぞれの選手の紹介が収録されているのだが、毎度やりすぎなくらいの「物語」を作っている。かつて一世を風靡した「PRIDE」の、いわゆる「煽り映像」はそのレベルがきわめて高かったが、それは昔ながらのプロレスの「アングル(リング外でのストーリー展開)」の進化形だったのだろう。
 起用に作っているなあ、と思ったら、監督の本田昌広は劇映画を何本も撮っているベテランなのだった。
 ラスト近く、試合に負けてほどない若い選手が、職場の片隅で考え事を止めて、やおらシャドー・ボクシングをするシーンは美しい映像だった。

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