『霧尾ファンクラブ』
同級生の男子が好きな二人の女子高生が「ファンクラブ」を作って、密かに彼を追っかけ、やがて少しずつ関係ができていく。設定は青春ものとしてベタな感じがするが、ギャグの秀逸さに見続けていると、そのうちに徐々にそれぞれの人物の背景が明らかになるにつれ、シリアスなドラマが展開されていく。このパターンは『村井の恋』以来だ。本作もまた同様に、終わりに向かうにつれてひどく感動的だった。
『勇者のクズ』
2クール、それなりに楽しんだ。
暴力団の組長が「魔王」で、それを討伐する賞金稼ぎが「勇者」という設定の近未来SF。「勇者」を養成する学校の生徒とともに主人公の「勇者」が謎に迫っていく。
主人公の「クズ」ぶりが、微妙なバランスを維持していて面白い。ヒロインたる女子高生たちが殺し合いに巻き込まれることを、主人公が止めない。そのわりに、登場人物があっさり死ぬ。危険がないわけではない。だが「勇者」というのがそういう存在であることをきちんと前提にしている。
一方で、戦いにおいて、いちいちちゃんと勝てるための理屈を立てて話を描くところが意外に誠実。こうした、リアルさの水準のバランスが妙なまま、物語が展開する。
『氷の城壁』
ちょっと生真面目で人の心を考えすぎる主人公と友人たちの高校生活を描く。感情の描写が細やかで見続けたが、完全に途中で、秋クールに続く。
それにしてもいやゆるコミュ障で、仲間に入りきれない主人公、特に女子高生を描くというのはずっとニーズのあるモチーフなのだな。
『左ききのエレン』
「天才」についてのいささかの神秘主義が過ぎるとは思うものの、「プロ」としての仕事の在り方とプライドとそれでも良いものは世界に存在するという信頼とがからみあって、かなり観られるドラマが続いた。それぞれの登場人物の背景を、時間を前後させながら描いていく構成が面白く、どんどんドラマが立体的になっていって見事だと感心した。
『淡島百景』
画はきれいだし、監督は『GUNSLINGER GIRL』の浅香守生だし、と一話も観ないまま録っておいたが、全話録っておいて、観るまでにはずいぶん時間がかかった。夏休みに観始めると、これはまたなんともすごいアニメなのだった。
宝塚をモデルにした「淡島歌劇団」を舞台に、生徒たちの群像劇が、短いスパンで描かれる。1話に3つほどのエピソードが詰め込まれることもある。そして、それらの人物は時代が違っていたり、無関係だったりもする。だから「百景」なのだが、これがもちろん関係もしてくる。親族だったり先輩後輩だったり。
そうした群像劇としての構成だけでなく、アニメーションの表現としてもきわめて質が高い。おそらく原作の細やかな心理描写が繊細に描かれているのだろうが、学校という空間とそこにいる生徒が群像劇として描かれるという設定から、空間がもつ歴史の堆積を、半透明の学生で描く表現はすばらしかった。
前クールの『違国日記』もすごかったが、これも同じくらいにすごかった。
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