2026年8月29日土曜日

『クラスの敵』-スロベニア映画

 産休に入る担任に代わって赴任した高校教師にクラスの生徒が反発する。それで「クラスの敵」というわけ。少ないリコメンドは決して低くないという以上に何の予備知識もないのだが、先日観直した『12か月の未来図』と比較したくなったからではある。

 何語で喋っているのやらと思って調べてみるとスロベニア映画とのこと。新任教師はドイツ語の先生だといい、生徒が反発するのに「ナチ」などと言うのはどういうわけかと思っていると、ドイツによるスロベニア支配の歴史が背景にあるのだった。女生徒の一人が急に自殺してしまうのも、どういう必然性があるのかと思っていると、スロベニアはそもそも自殺率が高いという情報もある。少なくともこの教師のせいではないが、生徒がそれを疑うことにまるで理由がないかといえばそうとも言えない、という微妙な情報量で描かれている。いろいろとわかりにくい。

 というか、この教師が何を考えているかがわかるように描かれているのかがどうも判別できない。こちらの読解力不足でそうなっているのか、そもそもそういう意図で作られているのか。

 ただ、あちこちの描写は必要な情報を的確に提示しているような手触りも感じさせる。新任教師への反発でストライキを起こす生徒への対策として、校長が育休中の元担任を学校に喚ぶ。クラス生徒への信頼関係に安心している元担任が親しげに接すると、生徒の反応は案外に冷たい。ショックを受けた元担任は早々に退散する。「生徒教師の信頼関係」がそもそも一時の感情で演じられたものに過ぎないことを感じさせるこのあたりの描写はうまい。

 ストライキを主導する生徒グループにも、それぞれに微妙な立場の相違があるし、開かれる保護者会でのそれぞれの保護者の示す態度もリアルに描かれている。

 そのうえで、やはりこの物語の伝えるメッセージはわかりにくい。たびたび引用されるトーマス・マンに対する理解が不足していることもあるのだろうが、生徒のストライキに対してこの教師の発するメッセージがどう対峙しているかがどうもつかみかねた。



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