2021年1月31日日曜日

『エヴァンゲリオン 新劇場版 Q』-3回目にして

  ブログ上でも3回目。しかも前回から半年。

 だが今回は劇場版3作を続けて観て、流れを把握している。前の2回は、まるでわかっていなかった。たぶん『破』を観てない。

 話が多少はわかったところでようやく、母艦の飛翔に高揚感を感ずることができるようになった。

 シンジが絶望的に不愉快なのは変わらないし、それをそのように描くことの不合理にも納得できないが、それでも最後のシーンで3人の初期メンバーが連れ立って歩き出すラストシーンには、3回目にして感動してしまった。

 頼むからこれを納得できる形で感動させてほしい。


2021年1月29日金曜日

『エヴァンゲリオン 新劇場版 破』-続・確認続く

  なるほど、これを観ていないのだ(あるいはまるで覚えていないのか?)

 ちゃんと展開する物語もあって、まるで現実味を欠いた暗喩ばかりの『Q』に比べて、観られるといえば観られる。

 だがやはり、結局のところ理に落ちる説明はないままで、とにかく物理法則の見当がつかない。これは「スーパーマン映画の不可能性」だ。何が可能なのかがわからない。

 恐ろしい危機であるかのようにも感じられるのに、死者がどれくらい出ているのか、復興に可能な資材や資財がどれほど必要で、それがどこから供給されているのかもわからない。

 それだというのに、どこかで主人公やら主要登場人物の「心」が突然判断の理由になってしまう。そんなことをしたら「心」が傷つくって、その前に世界が滅亡してみんな死んでしまうような危機なのではないのか?

 このアンバランスがどういうわけで関係者皆に看過されているのか、心底納得できない。


2021年1月24日日曜日

『リピーテッド』-名優の無駄遣い

  邦題にあるようにリピートものだろうと思っていると、眠ると記憶がなくなるという設定で、毎朝が同じように記憶のない状態からの始まりになるという意味でのリピートものなのだった。

 前向性健忘といえば『博士の愛した数式』だが、もちろんサスペンスだからそれよりは『メメント』と『マニシスト』を連想させる。

 記憶のない主人公とともに、観客も少しずつ「真実」を知っていく。もちろんその中にはなかなか明かされない謎があったり、ミスリードがあって、何が真実かが二転三転したり。

 そういった展開は実に想定内で、それほどのサスペンスも驚きもないなあと思いながら観ていたら、あろうことかそのまま終わってしまった。ドンデン返しで示された「真相」は想定内で、まさかこのまま終わるのかという不安が、そのままそれ以上はひっくり返されずに終わるのだった。

 観客は健忘などないから、徐々に明らかになる真相を蓄積させていけるが、主人公は忘れているはずだ。ビデオで撮影しているから、少しずつ真相が蓄積されているのだという説明ではまるで整合性がとれないほど、彼女は着実に「真実」に近づいていく。といって、それはミスリードされた「真実」だから、結局ひっくりかえる。なのにどうしてそれを彼女が信じてしまうのかがわからない。もっと観客が徒労感に苛まれるようなもどかしい前進の様子など描かれれば、感情移入もできようものの、徒にあらぬ方向にミスリードされるばかりで、不快な方向にもどかしいばかり。

 不満を言うために分析するのも空しいのでもうやめるが、いったいどうしてこんな杜撰な脚本が、よりによってニコール・キッドマンとコリン・ファースなどという名優を使って映画化されるのか。いや、エンドロールまで、何か随分似た俳優だなあと思っていたのだが、本当にニコール・キッドマンとコリン・ファースの名前が出てくるものだから、映画のひどさの反動で驚いたのだった。

2021年1月20日水曜日

『サマー・オブ84』-またしても小品

  突然アマゾン・ビデオのおすすめに浮上したサイコスリラーを観てしまう。

 だが、悪くないものの満足感も低い小品だった。

 少年グループの描き方は『スタンド・バイ・ミー』『IT』『スーパー8』のパクリで、といってそこに何か愛しいものがあるかというとそうでもなく、1984年という設定も、まあお国柄の問題かもしれないが、実際に当時を知っている身からするとリアリティがなく、だからサスペンス・スリラーとして面白ければ良いのだが、それには脚本の作り込みが浅かった。

 ドンデン返しが1回しか起こらず、それは想定内だし、バッドエンドなら、とことん怖くすればいいのだが、物語の終わりに、世界の見え方がかわってしまうというコンセプトは、ナレーションで語られるだけで、画として見えてこない。

2021年1月17日日曜日

『エヴァンゲリオン 新劇場版 序』-確認続く

  テレビシリーズと設定の違う物語だというのがわからずに前に観ているはずなのだが、どうだったか忘れた。

 見てみると、たぶんここまではテレビシリーズのダイジェストなのだった。

 そしてシリーズ前半見所の「やしま作戦」まででとりあえずここは終了。

 なるほど、物語的には毎度のエヴァンゲリオンで、主人公がひたすらうっとうしいのと、作画のすばらしいのと。

 とりわけ、機械の動く様子がすばらしい。精巧さとスケール感が圧倒的。

 だがやはり物語のバランスはとても悪い。危機の程度が甚だしいのと、主人公の逡巡があまりに不釣り合いで。これだから「セカイ系」などと揶揄されてしまうのだ。

2021年1月10日日曜日

『ナチュラル・ボーン・キラーズ』-実はまっとうに面白い

  最初のうちは、妙なカットの挿入のある演出の新奇さが目立つが、観ているうちに、これは奇を衒わなくとも面白い映画なのだと思えてきた。刑務所への侵入と脱出のくだりなどは結構面白い。そのまま見せれば良いのに。

 とはいえ、無差別殺人が何やら世の中への不満に基づいているらしい描き方は、それなりに理に落ちてしまっているだけに、どうしたって連想される『ワールド・イズ・マイン』の描いている境地には到底及ばない。

 『ゾンビランド』のウディ・ハレルソン、若い頃、結構良い男だなあ。