2023年12月31日日曜日

2023年第4クール(10-12)のアニメ

 第3クールは見たものが少なかったが、一転、第4クールはいっぱい観るものがあって、映画を観ている時間が圧迫される。というか、ちっとも映画を観ていない。

 かつ、録画したまま観ていないのもあるが、このまま年越しになりそう。


『ポーション頼みで生き延びます!』

 基本はスルーの異世界もので、かつアニメの質もかなり低レベルだったが、あにはからんやヒロインのキャラクターがすがすがしくて毎回楽しみに観てしまった。設定は限りなくチートなのだが、主人公が「ドジっ子」のように観ていてイライラするタイプではなく、むしろしっかりした現実的な判断をすることが特徴的なキャラとして設定されていて、どうやら今までヒロインを演じたことがないらしい主役の声優の起用も、そうしたしっかりキャラにはまっていて安定感があった。

 ところでこのひどいアニメの監督は「惑星のさみだれ」の監督なのだった。むべなるかな。


『ティアムーン帝国物語〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜』

 異世界転生ではないが、転生ではある。

 転生してのやり直しに対してそれなりに誠実であろうとする姿勢に好感がもてて見始めた。『ポーション頼みで』とセットで、土曜の深夜に放送されたものを日曜日に観る習慣ができて、溜めずに観たのだった。


『豚のレバーは加熱しろ』

 一つのクールで三つも転生物を見てしまうというのはどうかと思うが、ふざけた設定だと思っていたら意外なシリアス展開に見続けてしまった。後から知ったところによれば電撃文庫大賞というから「ブギーポップ」や「バッカーノ!」の末裔か。『ティアムーン帝国物語』とともに赤尾でこが1クールに2本もシリーズ構成をしている。しかも転生物を。シリーズ1巻を1クールで完結させるというゆったりの展開で、終わりの切なさも上出来だった。


『アンダーニンジャ』

 アニメーションは微妙な出来だったが、原作の面白さと声優の演技の面白さに引っ張られて見続けた。面白かったが話が全然終わっていない。といって続きがつくられたりもしなさそう。


『陰の実力者になりたくて!』

 第1シーズンに続いて、すぐにわけがわからなくなるが、「いわゆる」を相対化する視点の軽やかさが時々心地良いので結局最後まで。

 基本的には声優起用といい作画といい、金がかかっている。


『呪術廻戦』

 とりあえず渋谷事変の終わりまで。相変わらず絶望を描くのがうまいのは原作ゆずりとして、アニメーションのレベルの高いのは驚異的だった。トイレの中の格闘などは、はっきりいってハリウッドのアクションシーンを超えて世界最高峰と言って良い。


『デッドマウント・デスプレイ』

 第2クールのシーズン1は録り溜めて一気観した。それから数ヶ月経って、やはり録り溜めたままクールを終えて年を越したままにしていたのを、連休があって見始めると、展開がわからなくなっている。それでシーズン1を観直し始めたら、あれよと面白くなった。とにかく登場人物が多く、複数勢力がバトルロイヤル状態になっていくところは『デュラララ!!』譲りだ。正邪も定かではないし、利害も複雑なので簡単には先が読めない。

 いくらでも悪い奴やら人ではない者たちが出てくる中で、なんとか人間やら人間「性」やらにがんばってほしいと思ってしまう。


『地球外少年少女』

 磯光雄の久しぶりの仕事は、高いレベルの期待を全く裏切らない、驚くべき傑作なのだった。すごい。これが100億超えにならない映画興行は哀しい事態だと思いつつ、筆者も劇場には行かなかったのだった。


『葬送のフリーレン』

 冒頭の4回分だけスペシャル版の放送だったのを観たが、その後は録り溜めたまま。年を越えて2クール放送をするようだ。

2023年12月23日土曜日

『時をかけるな、恋人たち』-上田誠といえば

  上田誠の脚本でタイムマシン物といえば。

 すっかり録り溜めて、放送が終わってから一気観。

 毎回、演出の軽やかさと、瑛太と吉岡里帆の達者な演技で、楽しくも観ていられたし、伏線回収の鮮やかさはさすがの上田誠だった。

 楽しかった。これもカンテレなのか!


2023年12月3日日曜日

『春の一族』-山田太一追悼

 山田太一追悼。

 関わらないでいることの楽さと、関わることの喜びに踏み出す勇気と、というテーマが全面に出過ぎているとも思えたが、全体としては微妙な感情の拾い上げ方はさすがの山田節だった。

 それにしてもちょうど30年前に、こうして中年の恋どころか、老人の恋心さえ描いていたのか。

 あらためて感慨深い。

2023年12月2日土曜日

『スポットライト 世紀のスクープ』-アメリカ社会にとって

 手堅い社会派映画で、「問題」の捉え方も、ジャーナリズムの社会的役割も、組織の論理に左右される人間の選択の難しさも実によく描いている。

 が、ものすごく面白いかといえばそうでもない。こういうのは難しい。面白さがどこから生ずるのかというのは。

 アカデミー賞で作品賞だというのだが、この年に『ルーム』がノミネートだと聞くと、評価は人それぞれだと思う。いや、もちろん優れた映画ではある。アカデミー賞としてはこれを第一に推すというのもわかる。アメリカ社会にとってはそれだけの重要性を持った映画なのだろう。

 だが、その物語が自分にとってどんな意味があるのか、とか、その物語に触れている時間や、それから後で思い返すその物語の世界がどんなものだったのか、といった物語の「面白さ」は作品の客観的なレベルとはまた違ったところにあるのだ。