2023年12月2日土曜日

『スポットライト 世紀のスクープ』-アメリカ社会にとって

 手堅い社会派映画で、「問題」の捉え方も、ジャーナリズムの社会的役割も、組織の論理に左右される人間の選択の難しさも実によく描いている。

 が、ものすごく面白いかといえばそうでもない。こういうのは難しい。面白さがどこから生ずるのかというのは。

 アカデミー賞で作品賞だというのだが、この年に『ルーム』がノミネートだと聞くと、評価は人それぞれだと思う。いや、もちろん優れた映画ではある。アカデミー賞としてはこれを第一に推すというのもわかる。アメリカ社会にとってはそれだけの重要性を持った映画なのだろう。

 だが、その物語が自分にとってどんな意味があるのか、とか、その物語に触れている時間や、それから後で思い返すその物語の世界がどんなものだったのか、といった物語の「面白さ」は作品の客観的なレベルとはまた違ったところにあるのだ。

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