2024年7月19日金曜日

『マリグナント』-アドバンテージが消えて

 アマプラの見放題が終了になりそうなので娘を誘って。

 だが、前回の鑑賞で書いたとおり、映画館で観ることのアドバンテージがないと、必ずしも同様の面白さとは言えないのだった。意外性が楽しい作品となれば、2回目は不利だし。

 警察関係者とか妹とか、サブキャラクターはかなり魅力的なんだが、どうもヒロインの魅力が乏しいのは残念。

2024年7月17日水曜日

『エマ 人工警察官』-テレビドラマ?

 邦題の通り、アンドロイドの警官がベテラン刑事と組んで事件を解決する、というだけの話。2時間の映画という体裁なのだが、画面の深さも、前半と後半で全く関係のない二つの事件がそれぞれ解決まで描かれるところをみると、これはテレビシリーズなのだろうか?

 AIやアンドロイドはもちろんアニメでもやたらと登場するが、どれもこれも呆れるほど「人間」でしかない。本作はそれが試験段階という設定もあって、その「人間離れ」したところこそ描く。不器用な感情表現も、結局本人がそれをどう感じているでもなさそうなところも、一応見てはいられるレベルのリアリティではあった。

 それ以上に何かの感慨を呼ぶというものでもないが。


2024年7月1日月曜日

2024年第2クール(4-6)のアニメ

『ダンジョン飯』

 あきれるほど、原作を読んでいる記憶がない。娘は原作で読んでいるというのだが。

 原作の面白さは保証済みではあるが、アニメでは千本木彩花が演じたマルシルと中博史のセンシが実に楽しく、原作を超える面白さだった。

 2クールではまだまだ。


『夜のクラゲは泳げない』

 元アイドルを含む女子高生4人組のサクセスストーリーで、これもアイドルものの変形なのだろうか。基本は最近はやりのアイドルグループものは男女問わず見ないのだが。

 作画が最後まで崩れなかったから見続けてしまったが、途中で何度かリタイヤしそうだった。アニメ的な情緒が一貫しているとはいえる。時々はそこそこ感情移入できたりもするが、基本はステロタイプでもある。


『喧嘩独学』

 韓国アニメではあるが、名前を日本人にしたりする。だが、ノリがどうも韓国映画的な、これ、面白いよね、というふざけ方をしているのが残念ではある。

 それでも最後まで見たのは、弱い主人公がいろんなタイプの相手と「喧嘩」というジャンルで戦う展開に引っ張られたからだ。まるで『ホーリーランド』だ。『エアマスター』とともに、最も読み返したマンガのひとつ。ある意味で格闘技の、喧嘩に対する優位性を語っているのだが、完全に競技としての格闘技にしてしまうとそぎ落とされてしまう隙間が、かろうじて喧嘩という枠組みの中で活かされている。

 まあそれでも格闘技の優位性すら、時にひっくり返そうとする『エアマスター』の過剰さほどの感動は、このアニメでは望むべくもないが。


『乙女と怪異と神隠し』

 監督が望月智充なのだ。監督作である『海がきこえる』はジブリアニメでも上位の評価をしている。そうした監督がまだ深夜アニメの監督をするか。

 題名の通り「怪異」現象を追うというスタイルは夢枕獏『陰陽師』シリーズや西尾維新『物語』シリーズで市民権を得て、ライトノベル界隈では定番。怪異といっても古くからあるホラーとは違う。『鬼太郎』ほどに実在感のあるキャラクターとしての「妖怪」ではない。「現象」なのだ。

 ものすごく面白い話ばかりとは言わないが、手堅い演出で見続けてしまった。


『終末トレイン』

 水島努は最近作の『荒野のコトブキ飛行隊』や『大きく振りかぶって』を見ていたが、その前の『迷家』は途中離脱で、ヒット作の『ガールズ&パンツァー』は未見。脚本の横手美智子は原作物が数知れずあるが、本作はオリジナル。さて。

 歪んでしまった世界の歪みっぷりに、時々は感嘆しつつも、アニメの質がもっと高かったらと惜しまれる。ロードムービー的な展開を見せる物語に娘はたいそう引き込まれていたが、終着駅で停滞したところも惜しい。

 全体としては印象深い作品ではあるが、手放しで絶賛するにはもう一歩。


『ファブル』

 アニメの質は低い。が、この面白さはなんなのか。もちろん原作の面白さではあるのだろうが、沢城みゆきに花澤香菜に大塚明夫という豪華声優陣を投入することで軽妙なやりとりも重厚なドラマも見せるようなレベルにしてみせる。アニメの質が低いのは残念だが。

 それにしても何で面白いのか。実写の方のアクションには目を見張ったが、そんなすごみの全くないこの質の低いアニメにして、ほとんど毎回楽しみにしてしまうこの面白さは。

『6人の女 ワケアリなわたしたち』-良質な海外ドラマ

 NHK地上波の日曜夜には海外ドラマの枠があって『赤毛のアン』や『グッドファイト』などは本当に素晴らしかったのだが、まあ総じて質の良い作品を輸入しているとはいえる。

 6人の「ワケアリ」な女たちがフランスの国立公園の山に登るという設定だけを決めて、それぞれのドラマを1回ずつ6回に分けて、通して頂上までの行程に重ねる。こういうコンセプトが明確なつくりは好感が持てる。

 そしてそれぞれに巧みなドラマを描きつつ、登場人物たちの絆が深まっていく過程や登頂の喜びが心地良い感動を与える。