2025年6月29日日曜日

『プロメテウス』-のれない

 『エイリアン』シリーズに決着をつけようと、これと『コヴェナント』は見るつもりではいる。が、見放題終了のタイミングに後押しされてようやく。

 元祖リドリー・スコット監督作で、映像美は文句ない大作だったが、ストーリーのあちこちに納得できず、なんなんだ、これはというのが視聴後感。

 人類を作った宇宙人がいるらしいことがわかって、そこに会いに行きたいと思う動機がまずわからない。宇宙船団のオーナーの老人は死を逃れる術を教わろうとしているかのように描かれているが(まるで誤解なのか?)それがどうして果たされると期待しているのかまるでわからない。会いに行って会えてしまう展開もご都合主義にもほどがあると思うが、よしんば会えたとして、どうしてヘルメットを取って歩み寄って良いと思えるのか。有害なものが大気にないとセンサーが言っていても、すぐにヘルメットをとるのか。センサーに検出されない有害物質がある可能性をなぜ考えないのか。

 宇宙人は、目覚めた途端に人間を襲う。

 エイリアンはもちろん人間を襲う。その前に寄生された人間が人間を襲う。エイリアンの存在意義がわからない。

 アンドロイドは実験のためだかなんだか、人間にエイリアンの卵を飲ませ、それが案の定の展開になるのだが、そのわりに最後にはその被害者のパートナーであるところのヒロインを助ける。


 みんな、行動原理がわからなくて、話にのれない。

2025年6月24日火曜日

『新・感染半島 ファイナル・ステージ』-おそるべし

 『新感染 ファイナル・エクスプレス』にあやかって、というわけではなく、正当な続編なのだそうだ。監督も同じ。

 あちらもずいぶんと面白い映画だったが、こちらもまた、見事によくできた終末映画であり、アクション映画だった。ほんとは家族映画でもあるんだろうが、そこはまあベタではある。

 どこまでがCGかわからないが、とにかく街の廃墟感はよく出ていた。『アイ・アム・レジェンド』並とは言わないまでも、終末感はたっぷり出ていた。

 そしてアクションの見事なこと。とりわけカーアクションだが、こういうのを日本でやるのは本当に難しいんだろうと思われる。もちろん派手に壊せば良いというものではない。スリルを感じさせるのはスピード感とか急転回だが、そればかりで楽しいというわけにはいかない。ゾンビの群れに対して、車で走り抜けるための工夫を懲らしつつ、追っ手に対してどう対処するかにも知恵を絞る。駅のホームに上る階段にゾンビがぎっしり詰まっている画は、確か『新感染』でも衝撃的に描かれていたが、こちらでもそれを一度ジャンプスケア的に見せておいて、後で追っ手を振り切る手段として、このゾンビの塊を敢えて路上に溢れさせるといった展開は、脚本的にも実にうまいし、撮影も編集も見事にそのスピード感を見せつつ大いなるカタルシスを実現していた。

 エンタテインメントとして高い水準にあるこういう韓国映画、おそるべし。

2025年6月22日日曜日

『アポカリプスZ』-終末感

 スペイン産のゾンビ映画。邦題だと思ったら、原題がそのままなのだった。感染者が走るという『28日後』パターン。

 安っぽくはない。雨の高速で、トラックを追い越す描写を入れておいて、その後で路上に急停車したあと、車内のやりとりに集中させておいて、案の定そのトラックが追突する。うまい。

 移動途中の老婆宅への居候と、去り際の苦さなども悪くない。

 病院に逃げ込んだときに、ヘリポートまでの数十メートルを、ゾンビの群れをどう抜けるかという問題に対し、ケージを連結させた移動式バリケードを作って、そこに立てこもりながら移動するなど、アイデアも楽しい。

 が、全体に、申し分なく面白いということもない。

 終末感はやはり、人気のなくなった街の描写によって描かれるのだろう。