『オッド・タクシー』の傑作ぶりに、脚本の此元和津也のことを調べて、テレビドラマではスルーしていた本作を観てみる。
「ブラック校則」はネタの一つではあるが、それよりも学校を舞台にした伏線回収の趣向のあるサスペンスなのかと思っていた。『オッド・タクシー』のせいだ。
ところがタッチは『野ブタをプロデュース』的な学園コメディで、にもかかわらず「ブラック校則」がテーマになっているところで結局は不満足な出来だった。
確かに会話の面白さが光るところが一瞬あったり、校舎の壁の落書きが増殖していくところはポリフォニックな会話劇・群像劇の面白さがあったりもした。
最後の主人公の演説も、内容はともかく熱演にほだされて、エキストラの高校生たちとともに拍手を送りたくなった。
それでも、だ。「ブラック校則」が物語のモチーフになっているではないか。さまざまな行動の動機に、どうしてもそこがからむではないか。
それがあのように浅はかに語られてしまうことに、どうしてもがっかりしてしまうのだ。
「ブラック校則」の問題は、それを支持する人の思想や感情が、それなりに理解できてしまうと思えるように描けるかどうかが決定的に重要なのだ。『新聞記者』も『Fukushima50』も、それができていないから評価できないのであって、「ブラック校則」も、「ブラック校則」の問題に向き合って闘う主人公たちであればこそ応援できるのに。
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