2024年3月20日水曜日

『一秒先の彼女』-幸せに満ちた

 アマプラのリコメンドで上がってくるまでまったくなんの情報もなかったが、かなりの高評価に、リメイクは宮藤官九郎の脚本だという。リメイク版の最初をしばらく観たが、思い直して原作を。

 台湾映画といえば『牯嶺街少年殺人事件』くらいしか観た覚えがない。さて。

 最初のうちは高評価の期待に支えられて見続けたが、軽いコメディという感触くらいでしかなかったが、消えた一日の謎をさぐるべくヒロインが動き始めてからにわかに面白くなった。ヒロインの愛嬌のあるキャラクターの魅力でもあるが、謎でひっぱるストーリーテリングの巧みさが大きい。

 だがさらに、前半が終わって後半は主人公を変えて、前半のできごとを別の視点から見せる。そして消えてしまった一日へ展開する。コメディタッチの恋愛ドラマかと思っていたら、「時間が止まる」などという超常現象が起こる展開にびっくりし、その時間の特別さが実に愛おしく描かれる。

 とりわけ、満潮になると水面下に沈む、何かの養殖場らしい桟橋をバスが走るシーンは、高揚感に満ちた展開なうえにとても美しかった。

 基本的には伏線を張って、それを幸せな方向に決着させる、本当によくできた幸せな映画だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿