バカリズムの連続テレビドラマとして、『ブラッシュアップ・ライフ』が連想されているのはキャストもそうだし、こちらの意識も。
で、感動的という意味では『ブラッシュ』はやはりすごかったのだと思うが、ドラマとしての語り口としては、本作も相当に完成度の高いまま10話ずっと走りきった。どうしたことか、テレビドラマとしては意識的に、映画的な手触りの画面作りがされていて、画としても編集のテンポとしてもうまい。ドラマとしては基本的にはバカリズムの漫談の味わいではあるのだが、その皮肉なものの見方にニヤリとさせられるところに、登場人物たちの人柄やら関係性やらが物語に居心地の良い空間を作っている。
とりわけ、10話を通じてほとんど笑わない演出がなされている角田晃広は「大豆田とわ子と三人の元夫」における役柄と、いじましさの点でかなり似てもいるのだが、それ以上に得がたいキャラクターを作っていた。ともすれば地球に生きる異星人としての孤独が描かれそうだが、いじましさがそうした視聴者の同情を封じて、逆に笑わないままにみんなに愛される存在として登場人物たちによる奇妙なコミュニティを成立させている。これが、謳い文句である「地元系」的な、ゆるやかなユートピア感につながっている。