「人狼ゲーム」シリーズでは、テレビシリーズの『人狼ゲーム ロストエデン』が、ゲーム会場以外の「外」の物語を並行して描いていて新鮮だったが、本作は舞台裏の運営の行動を描く。面白くなるかどうかは賭けだな、という印象だったが、案の定面白くはない。だが最後に設定の裏が明かされるどんでん返しは悪くなかった。お、最後にそう捻るか、といくらか感心した。
が、全体にはこちらの努力不足もあって、頭脳ゲームとしての面白さが伝わるとは言い難い。せっかく頭脳戦が二重に展開する設定にしたというのに、それが十分には活かされない。どんでん返しの驚きだけでなく、そうした設定によって論理ゲームとしての複雑さを増したというのに。
もったいのは、今作でも人狼側を明かしてしまっていることからくる「ネタバレ」感だ。誰のどの言葉が信用できるのかを本当に疑いながら、ちゃんとその解釈の可能性について考えさせる強制力が観客に対して働いていないと、観ている緊張感も、そこからの意外な展開がもたらす感動も生まれない。
人を殺すためのハードルに関する緊張感が決定的に欠けているという、シリーズの致命的な欠陥を補うには、せめて頭脳戦を本当に緊張感を持って描くしかないのに。
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