討論の場面はテレビで放送されているのを観たことがあったが、映画としてまとめられているものをあらためて。
三島や全共闘と学生運動、そして三島の自決まで、背景を説明する必要はもちろんある。
問題はゲストの内田樹や平野啓一郎、小熊英二や橋爪大三郎のコメントだ。残念ながら、有効に使われているとは感じなかった。内田樹と平野啓一郎についてはいくらか討論のガイドとして有益なコメントもしているが、瀬戸内寂聴や小熊英二あたりはほとんどカットしても良かった。
やはり討論の中身をどう捉えるかに不全感が残った。どのテーマについても、ほとんど何を議論しているのかわからない。三島への問いについても何を聞いているのかわからないし、それに対する三島の答えもどうかみあっているのかわからない。
とりわけ芥正彦とのやりとりは、応酬が複数回にわたるだけに、わからなさがどんどん蓄積していく。ここに、現在の芥のコメントを上積みしても、何かが理解される期待はまるでできない。現在の芥の語ることもほとんど韜晦で、それ自体が現代詩のようだ。
それでも、議論自体を三島が楽しんでいるらしいユーモアに満ちたやりとりが楽しいとは言える。抽象度の高い言葉の応酬をしつつも、赤ん坊を抱いて、そのうちあっさり場を去る芥のやりとりも、それ自体がユーモラスでもある。
何か言葉でスパーリングしているような。
でもどうにも、読解の必要も否定できないもどかしさがある。どんな枠組みで語られているのか。あれらの応酬が。
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