日本産「ループ」ものといえばヨーロッパ企画の上田誠だが、本作はまだ他に作品を知らない竹林亮と夏生さえりのオリジナル。
その後繰り返されるエピソードが出そろう一周目から、ループであることが明らかになる二周目まで、アイデアがとにかく盛りだくさん。半信半疑の主人公が徐々に信じていく過程も楽しい。
ループに記憶を保持しておければ、いろんなことに習熟していく。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』だ。
ループが起こっているとするとどういうことが起こりうるか、どういう楽しみが設定できるかを、とにかく考え尽くして盛り込んでいる。そのアイデアの数はとにかく驚異的で、そのうえ、カットも豊富で編集のテンポもきわめて達者、映画的センスの良さは驚くべき。
ものすごく楽しいタイプの映画だなと思って観ていたが、3分の2ほど進んで、最初のループ脱出の鍵が間違っていたことがわかってからの展開が、やや不満ではある。展開が、情緒を重視した人情話に傾いていく。
もちろん、それが成功していれば、面白い以上に感動的になりうる。アイデアの数では双璧だと思える『カメラを止めるな』が成功しているように。
が、そこはそうでもない。仲間との協力で、絆の大切さに気づきました、的な。
惜しい。
ところでどうも画面が常に揺れるのは、あえて手持ちカメラで撮っているらしいのだが、いちいち三脚でFixの構図を作らないことが、あのカットの多さを可能にしているのだろうか。
興味深い。
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