2016年6月8日水曜日

『スーパー8』 -尻つぼみな高品質エンターテイメント

 公開当時、評判の良かったこの映画を、機会があれば観たいとずっと思っていた。といってレンタルするでなし、放送の機会に録画してようやく。
 題名は8人の超能力少年のことでもあるかとか思っていたのだが、8mmフィルムのことなのな。映画少年たちの自主映画作りという設定は、それだけで映画ファンの感情移入を誘う。
 加えて、見始めてしばらくの列車事故のシーンで「おおっ!!」となり、その後の緊張感のある展開も、青春映画としての甘酸っぱさも、レベルの高いエンターテイメント映画だと興奮していた。
 だが、モンスターの姿が露わになるのと比例して(反比例しているのか?)、つまらなくなっていく。ラストはすっかりがっかりして終わった。
 問題の「物体X」が、憎むべきモンスターであることと同情すべき宇宙人であることのバランスの収まりが悪い。どちらでもあることのアンビバレンツが精妙に描かれているというのではなく、単にどっちつかずでしかない。同情するにはモンスターとして憎むべき行為をさまざましているのに、宇宙に帰れて良かったと素直に喜べない。憎むには、打ち倒すカタルシスがあるわけではむろんなし。
 しかもその結末に向けては、サスペンスもなにもなくなっていくばかりだし。
 なぜだ?

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