2019年7月15日月曜日

『祈りの幕が下りるとき』-物語の重みにノれない

 東野圭吾の「新参者」シリーズは前作の『麒麟の翼』も見ているはずが、全く面白くなかったように思う。というか観たという記憶はあるのだが、内容がまるで思い出せない(もはや観たという記憶が錯覚なのか? いや違う。観てる)。
 それで、宣伝文句はまあそういうものだとは思いつつ、感動的だというふれこみの本作を、性懲りもなく観てみる。
 だがやはり面白くない。
 物語的には、複雑な事件の真相が徐々に明らかになる構成など、見事な作りにも思える。だがそれにわくわくするとか感動するとかいうこともなかった。頭ではそう思う、というのと感情が一致しない。
 たぶん、登場人物の誰にも感情移入してないせいだ。事態が展開しても、それに対する喜怒哀楽が起こらない。なぜだろう。さだかにはわからないが、感触としてはこちらの不真面目な鑑賞態度とともに、やはり演出の問題なのだろうとは思う。演出がなんだかテレビドラマ的で、それと物語の重さが釣り合っていない。テレビドラマならばもうちょっと日常に寄り添った物語の感情レベルで入り込もうとするのだが、本作は妙に深刻なドラマで、そのわりには作り物じみた手触りが白々しい。
 映像的にはモチーフになっている橋を川から見上げる構図が面白かったのと、川岸の小屋が燃えるのを対岸からとらえる構図が面白かったが、これだけで「良い映画だった」とも言えないし。
 それでもネットの評価では「感動した」の声がそれなりにあがっているのが妙ではある。どうなっているんだろうな。ああいうのは。 

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