スキー場のリフトが止まって、コースの途中、地上数十メートルに取り残されてしまったら、というワンシチュエーションスリラー。これもある種のSSSか。印象は『ロスト・バケーション』に似ている。ということはサメ映画もSSSなのか。
となれば起こりうることをどう想像力豊かに盛り込んで、かつ演出をどうするか。
とどまっていれば凍死するしかない。すぐに救助が来ることは期待できない。飛び降りるしかない。果たして無事に済むか?
取り残された3人のうち1人が意を決して飛び降りると、はたして足を骨折する。彼はどうするか? 残る2人は?
だが、なんということか、地上には狼が徘徊し、降りたものは食い殺されてしまうのだった。
やっぱりサメ映画!
しかし印象としてはこれは余計な設定だと感じた。
飛び降りる恐怖は骨折の危険に因るだけでいい。狼に襲われるとなれば、降りることができないということに等しい。そうなるとリスクとベネフィットのバランスが崩れて、選択が迫られることにならない。
だから画に描いたような泣きっ面に蜂状態は、むしろチャチに感じてしまうのだった。
そして狼は具体的で決定的な脅威として物語中で描かれているのに、実際には恐怖は感じない。これは描写力不足のせいだ。迫ってくるものがない。
主人公にそれほど好感が持てないのも困ったものだ。ちゃんと魅力的に描いて、観客に応援したくなる気持ちにさせてほしい。
ということで残念な出来だったが、まあ低予算でもあるので残念さも緩和される。
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