2022年12月7日水曜日

『音楽』-音楽の初期衝動、みたいな

 4000万枚の作画全て手書きというインディー製作の労苦が全面に立ってしまうが、そこで評価する必要はないはず。面白いかどうかだ。

 面白いところはある。アニメ表現としても見所はある。シュールな表現が平凡な描写から飛躍して、おお、と思わせる。なぜか平岩紙が男子高生を吹き返している森田君のキャラクターは微笑ましいし、エンドロールを見てから見直した岡村靖幸の突然の吹き替えシーンは、あまりに岡村で笑ってしまった。

 もちろん肝心の音楽の初期衝動、みたいなものの感触は捉えられている。最初にみんなでせーの、で音を出した瞬間の快感とか。

 だが音楽を楽しむために不可欠なはずの持続した取り組みが途中で失われてしまうのに、最後はリコーダーでセッションに参加するという捻ったドンデン返しを狙っているらしい展開が、なぜリコーダーはうまいのかという説明もなく、それができてしまうというご都合主義的な展開に冷めてしまう。

 面白いということになっているらしい「間」も、どうもせっかちな観客にはもどかしいばかりで効果的とも思えず、全面支持という気にはならなかった。

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