横山秀夫原作もので『半落ち』以外に何か、と探したらTSUTAYAにあった。映画かと思いきやWOWOWのドラマだった。
さて結論を言うと、前述の『64』『クライマーズ・ハイ』に比べるとかなりおちる。テレビドラマ的な安っぽさはない。安い映画、くらいの画面の深みはある。が、そもそもNHKドラマの『64』『クライマーズ・ハイ』が異常なのだ。あのクオリティが。
同時に、どうやらこれは原作の問題でもあるらしい。未読だが、アマゾンのカスタマー・レビューによれば、私がドラマを観たのと同様の不満を原作小説に対して抱いた読者も少なくないらしい。そしてそれは『64』『クライマーズ・ハイ』では満たされていた魅力である。すなわち、魅力的な主人公の存在である。
例によって組織の中で翻弄される人々がリアルに描かれてはいる。だが『64』でも『クライマーズ・ハイ』でも、だからこそその中でぎりぎりの選択を迫られる主人公の矜恃が光るのだ。それなのに『震度0』では、主人公が自らの出世コースを守ることを第一義とするキャリアでしかない。そう見えて上川隆也だから、どこやらで格好つけるのかと思っていると、結局そのまま権力闘争(しかも地方の県警内部での)で終わってしまうのだった。警察の正義は? 仕事への誠実さは?
真相にリアリティを感じなかったのも不満の種だが、これはドラマの演出のせいか不明。
これも横山秀夫原作ものに対する期待値の大きさ故のやむをえない渋い評価だ。
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