2015年11月24日火曜日

『ラスト・キング・オブ・スコットランド』

 フォレスト・ウィテカーといえば『バンテージ・ポイント』の良い人ぶりが印象的なんだが、アカデミー主演男優賞を獲ってるとは聞いていた。それがこの映画に違いないと見当付けて観た。観始めて、これは間違いないと思って、後で調べてみると豈図らんや、そうであった。
 ウガンダの独裁者、イディ・アミンに関わることになったイギリス人医師から見たアミンの独裁ぶりを描く。
 なんといってもウィテカー演ずるアミン大統領が怖い怖い。
 もちろん、怖いだけなら主人公はウガンダに残ったりしなかった。アミンは魅力的でもあるのだ。豪放磊落な言動が背後に猜疑心に苛まれる臆病な人格と同居していて、容易に独裁者的な非人間的な振る舞いに転換しそうな気配を常に漂わせている怖さが、見ていてスリリングなこと。

 映画自体は危機をくぐりぬけて脱出という結末のカタルシスを感じさせながら、アミン独裁が終わるわけではないという後味の悪さも残す。哲学的なテーマに感じ入るというわけでも、精緻に組み上げられたストーリーを堪能するといった映画でもなく、手放しで満足はせず、良くも悪くもウィテカーの演技の圧倒的な映画。

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