観始めてしばらくして、これは『太陽がいっぱい』じゃないかと思っていたら、はたしてそうなのだった。
とはいえ、『太陽がいっぱい』を観たのはもう何十年前のことか、主人公が友人を殺し、ラストシーンでその犯罪が明るみに出て破滅するという展開だけしか覚えてはいないのだが。
ところでこちらは文句の付けられない、すべてがうまい映画だった。ストーリー展開が巧みなのは原作がそうなのだろうが、演出から演技から編集からロケハンから、見事なものだった。
だが後味は悪い。『太陽いっぱい』の因果応報的結末はそれなりの完結感があるのだが、それに比べて『リプリー』のこの、いきなりな終わりはなんだ?
もちろん放送枠のカットの問題もあるんだろうが、終わってから調べてみると、そもそもこの物語はピカレスク・ロマン(悪漢小説)で、この後もリプリーが犯罪者として生きていくというのが原作の流れなのだそうな。ウィキペディアの紹介を見る限り、『リプリー』の暗さからは違和感のある続編だなあ。
というわけで主人公が破滅する方がまだ後味はいいといえる。
マット・デイモンのうまいのは今更言うまでもないが、アカデミー賞にノミネートされたジュード・ロウはもちろん、ケイト・ブランシェットやグウィネス・パルトローなど、脇も豪華。
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