『リプリー』に続いてマット・デイモン主演映画を。
歴史を陰から操ってきた組織「The Adjustment Bureau(調整局)」によって決められてしまう運命に抗って、自分の力で愛する女性との運命を実現させる下院議員をマット・デイモンが演ずるSF映画。
よくできてる。監督のジョージ・ノルフィって、ただもんじゃねえ、と思ったら『ボーン・アルティメイタム』の脚本家だというのだが、だからといってこの監督としての熟練度はなんなんだ。
途中まで、先の展開に対する興味をかきたてる吸引力がものすごいんだが、最後まで観ると、SF設定に対する期待は、実はそれほど満足させられない。SFというか、「謎の組織」は、結局「神の率いる天使たち」でしかなく、何やら最近観た『運命のボタン』やら『コンスタンティン』やらを思い出してしまった。SFといいながら、結局愛の力が勝つって結末については『エターナル・サンシャイン』を思い出したり。観ながら『運命のボタン』を思い出したのは、途中に出てくる、「神の世界」に属するらしい図書館が、『運命のボタン』に出てきた場所と同じではないかと思ったからでもある。調べれば有名な図書館なのかもしれない。ネットでも二つを連想で結びつけた人が多いことが確認できる。エンターテイメントとしての「わかりやすさ」「すっきり」度はこちらの方がはるかに高いが。
愛の力が「運命」を乗り越える、というコンセプトにしても、そもそも主人公がヒロインに惹かれてしまうという、基本的な物語の原動力が前世の因縁だかの「運命」らしく、結局それって運命に操られているってことじゃないか? 相反する「運命」同士の拮抗に過ぎない?
展開も映像も実に良くできた映画なのに、結局、物語に打たれることなく終わってしまうのは残念だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿