2016年12月8日木曜日

『グラスハウス』 -質の低いサスペンス

 サスペンスというのだが、『スクリーム』的なサイコスリラーではなく、むろんホラーでもなかった。単に財産目当てに後見人に命を狙われる姉弟、という。
 豪邸を舞台に、徐々に恐怖が…とかいう紹介に乗ってみたが、どうにもならなかった。これをそこそこ楽しめたとかいう人がいるのが信じられない。そこら中説明不足だし、そのわりにシンプルな筋立てでひねりもないし。人物の描き方も一面的かと思えば混乱しているし。魅力的にも見えないし。

 ところで物語中の時間間隔がどうも掴みにくいのにも参った。カットが変わって次の場面が、前からどれくらいの時間を隔てているかがわからないのだ。前の場面とつながっているのかと思えば、いくらか経っていたり、そのいくらかがよくわからなかったり。
 だが考えてみれば、観客は物語中の時間の流れと全く異なった時間で映画を観ているのだ。それなのに、カットの変わり目で時間が連続しているのか、数分が経っているのか、数時間なのか、どうやって解釈しているのだろう。
 自分で作ってみればその難しさもわかるのだろうが、ともあれ、商品として出回っている作品としてはそのあたりの情報の伝え方が怪しいのは、やはり低い評価をせざるをえない。

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