2017年2月28日火曜日

『クローバー・フィールド』 -完成度の高い怪獣映画

 『Monsters』の流れで、一緒に観た娘に低予算怪獣映画の秀作を見せようと、まずは『Cloverfield』。次は『グエムル』の予定。
 
 POVは、低予算で映画を作る工夫として好感のもてる手法だ。モキュメンタリーも工夫の方向がはっきりして、単なる観客というより、作り手の側に想像が及ぶような鑑賞の仕方が楽しかったりもする。
 『クローバー・フィールド』は、低予算のPOV映画というわりには、堂々たるCGが怪獣映画としてスケールの大きなパニックを描いていて、初見の時から、おそろしく見応えがあるなあ、と感心したものだった。邦画の合成があれほどちゃちに見えるのは、アメリカの「低予算」にさえ遠く及ばないほどの予算規模だということなのか、技術的な問題なのか。
 観直してみると、やはり、最初のパーティーの場面を過剰に長々と描くことで、POVという手法の安っぽさとも相まって、怪獣登場のパニックの派手さとの落差が強烈に増幅されるという効果が巧みだと感心した。最初から低予算映画ですよと開き直るから、その完成度に対してのハードルが下がる。そして完成度はすこぶる高いのだ。
 物語としても、最初の怪獣襲来から、ブルックリン橋への避難、地下鉄のトンネル内での小クリーチャー来襲、感染症の危機、倒壊しそうなビルでの恋人救出劇…とイベントが連続して、その起伏に翻弄された印象から、密度の高い物語を体験したという満足感が得られる。
 完成度の高い、楽しい映画だ。

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