2018年2月12日月曜日

『フラットライナーズ』-サスペンスとしてもドラマとしても中途半端

 公開当時はテレビで宣伝もされていたが観る機会もないまま28年経って。
 医大生たちが臨死体験をする実験によって、過去のトラウマに襲われるようになるという、SFだかサスペンスだかホラーだかわからない話。
 キーファー・サザーランドにジュリア・ロバーツという豪華キャストの中で、お目当てはもちろんケビン・ベーコンだが、なんともはや堂々たる主役と言っていい。大人しく周りに流されるより自分の判断で咄嗟に動ける行動力を持ち、堂々と正しいことを言いつつ情にも厚い。その上かっこいいときてる。たとえエンドロールの筆頭がキーファー・サザーランドであろうとも主役はこちらだろ。

 さて、なんともはや中途半端な映画だった。怖くはない。先が気になるところもあったが、さりとて大した驚きがあるでもなく。監督のジョエル・シュマッカーは、そういえば『ブレイクアウト』の放送時は「巨匠」と称されていたが、どちらも似たような感触の映画だ。
 人間関係やら人となりやら、最初のうち、どうしようもなく説明不足だと思えたのは放送上のカットがあったのかもしれないが、幻想シーンになるといきなり、あまりにちゃちい赤い照明で画面がショッキングピンクになるのは興ざめだった。もうちょっと深みのある色合いで、しかも微妙な違和感、くらいにとどめてほしいものだ。
 そうした画面作り同様、ドラマとしてもわかりやすい、わかり易過ぎるトラウマとその克服、という作りに、どうもひねりがなさ過ぎる。ここは恐怖演出というより、ドラマとして描き込んでほしいところだった。確かにケビン・ベーコンの対決すべき過去は、子供の頃のいじめについての後悔、くらいのもので、それを現在の相手に会うことによって乗り越えるくだりにはそれなりのカタルシスはあるが、そもそもがトラウマなどではないのだから、なぜそれがこの特殊な設定によって呼び出されるのかもわからない。キーファー・サザーランドの件については、ただもう蘇生することとトラウマ克服が重ねられているだけで、それがどういう理屈なのかもわからない。
 ジュリア・ロバーツのウエストの細さと、ケビン・ベーコンの少年時代を演じた子役があまりにぴったりだったことに感動したくらい。

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