2019年10月17日木曜日

『エスケープ・フロム・LA』-B級の味わい

 ジョン・カーペンターはもちろん『遊星からの物体X』だが、『ゴースト・オブ・マーズ』も、低予算ながら妙に盛り上がって面白かった覚えがあるし、テレビ放送なら。
 前世紀の映画にしてはCGががんばっているとはいえ、『ブレード・ランナー』のような、それより遙か前の映画があれだけの画面を作っているところをみると、やっぱりジョン・カーペンターってのはB級映画職人なんだろうなあ、と思う。
 でもやはり職人なのだ。なるほど、映画ファンが喜びそうな要素はいっぱいある。荒廃した未来のL.Aの街は、『ブレード・ランナー』よりは安っぽいとはいえ猥雑な映画的わくわく感を湛えているし、カート・ラッセルはふてぶてしい魅力で溢れかえっている。ステルス・スーツだとかいう黒い皮みたいな袖なしシャツもコートも決まっている。
 どういうわけで出てくることになったのか謎なピーター・フォンダと謎の波乗りをするところも、実にB級映画的高揚感だ。怪しい臓器売買業者(役所かも)も、これでもかと撃たれる銃もB級の味わいだ。地球上から電気的なエネルギーを無効化してしまうという無茶な結末も、カート・ラッセルの無茶ぶりによって成立しているが、とんでもない大災害、大惨事を引き起こしたはずで、そんなのどうでもいいと思えるところがB級だ。

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