2019年11月15日金曜日

『金融腐食列島 呪縛』-クオリティは高いが満足度はいまいち。

 原田眞人監督作品ということで、期待しつつ。
 情報量が多い、というか避けようもなくわかりにくい。この感じは『関ヶ原』にも通じる。が、『関ヶ原』よりはよほど観られる。
 メガバンクの、再生へ向けての若手の奮闘を、臨場感も緊迫感充分に描いている。
 しかし、この手の群像劇で、問題の複雑さや微妙さ、男の決断の重さなどを描くには、横山秀夫原作の、例えば『クライマーズ・ハイ』や『64』の、どちらかといえば映画よりもNHKのドラマの方が上か、とも思う。これは原作の問題。
 映画としていつもの原田クオリティだが、いくつかの場面で、いささかお芝居が過ぎる、とも思った。雨の中をスーツで走る、とか、上層部に若手が詰め寄るときに、周囲をぐるぐると歩き回る、とか。
 ドラマティックであることと重厚感が反作用する。
 ということでクオリティは高いが満足度はいまいち。

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