2019年11月13日水曜日

『Get out』-受け止める姿勢作りに失敗

 黒人男性が、白人の女性の実家に招かれて感じる居心地の悪さが描かれているらしいとの事前情報で観始める。「出て行け」とは、白人コミュニティから主人公が言われる台詞かと予想される。
 なるほど、よくできている。ものすごく面白かったとは言わないが、監督による解説音声で観直してみると、あれこれ、よく考えられているのだった。伏線が細かく張られていて、気が利いている。
 微妙な居心地の悪さを演出するのもうまい。
 題名も、ダブルミーニングが効いているから、これがわかりにくいからと妙な邦題にしなかった判断は良かった。
 だが充分に恐いとは思えなかった。よくできているのに、なぜだろうと考えてみると、つまりどういう映画なのかが最後近くまでわからず、受け止める構えができなかったのだ。
 一方でそれが売りでもある。どんでん返しとしては、ジャンル毎ひっくり返す力業を狙っている。
 だが、ホラー映画として「安心して」見られない分、怖がって良いのか、観客としての姿勢が決めきれない。
 そこには、基本的な設定の荒唐無稽さのレベルに戸惑ってしまった、ということもある。オカルトなのかサイコなのかは、受け止める姿勢に大きな影響を及ぼすのだ。どちらでもないトンデモ設定に戸惑ったまま最後まで観てしまった。
 といってネタバレされてから観るのもなあ。

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