2021年9月17日金曜日

2021年第2クール(4-6)のアニメ

『SSSS.DYNAZENON』

 「SSSS」って、もしかして『SSSS.GRIDMAN』か? と思ったらそうだった。やはり動画も演出もうまい。「グリッドマン」ほどの異世界感も日常感もなかったが、次作に期待はつながる。


「スーパーカブ」

 孤独な女子高生の閉鎖的な世界が、スーパーカブ購入によって拡がっていくというコンセプトはいい。物語の「拡がる」場面でアニメの彩度が上がる演出や、BGMにピアノクラシックを使うところも良かった。

 好ましい印象で観始めたが、夏休みのバイトの件や修学旅行のエピソードにリアリティの水準が落ちてちょっとがっかりしていると、後ろへいくほどにがっかり度が高まって、最後の2話はほとんど不快でさえあった。調べて初めて、途中の道交法違反描写が炎上していることを知った。それに対する原作のスタンスも、作者の見解も知り、興味深い論争だと思ったが、感想はそこではなく、やはり最後の2話のあまりの非現実的展開に対する落胆だ。非現実的な展開は、こちらの共感を阻害してしまう。しかもそれは、原作では考えられていて、そこに言及しているポイントが、アニメで省略されているから感じる非現実感なのだ。上記の道交法違反もそうなのだそうだ。となればそれはひとえにアニメスタッフのせいではないか。


「美少年探偵団」

 西尾維新と新房昭之に、主演が坂本真綾なので最後まで観たのだが、最後まで面白くなかった。坂本が美少年に囲まれると言えば「桜蘭高校ホスト部」だが、あちらの方がよほどいくつもの見せ場があって。「美少年探偵団」という設定に、何も惹かれるものがなく、副題に表れるミステリー趣味も、「趣味」程度にとどまって「無能なナナ」のような知的ゲームにはならず。


「MARS RED」

 大正ロマンに吸血鬼設定が載った、何だか妙に格調高いような低俗なような、変なアニメが始まったと思って意識してみると原作の藤沢文翁という名前が音響監督でもある。音響監督が原作のアニメって何だ?

 もともと藤沢という人が劇作家で、朗読劇の舞台劇が原作なのだった。それで音響監督もやると。なるほどそれで舞台劇が物語に重要な役割を果たしているのか。

 人間と共存できない吸血鬼設定が時々切ない味わいもあったが、通してそれほど面白いとも思えなかった。


「さよなら私のクラマー」

 原作の新川直司はデビュー作の「冷たい校舎の時は止まる」から感心していたのだが、それ以降の「四月は君の嘘」に続いて本作のアニメ化となった。「冷たい校舎の時は止まる」こそ映画化でも1クールのアニメ化でもするべきだと思うが。これまたいくつも実写化されている辻村深月作品としても。

 で新川作品であるところの本作だが、時々「はいきゅー!!」的な面白さはあったが、基本的にはアニメの出来がひどく、たぶんアニメ化にあたっての俗悪なデフォルメ描写にがっかりした。原作はそんなことはないのだろうと期待している。


「Vivy -Fluorite Eye's Song-」

 初回の最初に、ロボットの反乱らしき場面が描かれているのだが、その描き方がなかなか巧みだと録りだし、そのまま1話も観ずに最終回まで録画を終えて、一気見した。初回は1時間のスペシャルで世界観を見せるのだが、アクションの作画も、そこへ至る物語のスピード感も圧倒的で先に期待を持った。それ以降も2話くらいずつの区切りでエピソードを見せながら、100年に渡る、AI反乱に至る歴史を辿る。最後まで観ると、いろんなことがあったなあ、という、長い物語につきあった感慨があってすごぶる良い。初回ほどのアニメーションは、途中にもう1回くらいで、毎回がすごいレベルだったというわけではないが、ぐだぐだになることもなく好印象。

ただ、AIを扱っていて、やっぱりまるで人間的に描かれることの残念さがあった。


「ゴジラ・シンギュラポイント」

 始まった途端に、まず「言葉」に圧倒される。脚本と科学考証を担当するのは円城塔だという。それで。

 とはいえ作画も一貫して高品質。毎回のイマジネイションもすごいなあ、と思っていたのだが、結局ハードSFと怪獣映画の両立には成功したとは言い難い。


「東のエデン」

 再放送にともなって劇場版も放送されるという。10年越しに決着をつけるべく、テレビシリーズも録画して、まとめて観る。

 今観ても驚くほど高品質に全話が作られている。街並も人物も、一切ダレることなく最終話まで走りきる。そして、各話の展開は驚くほど巧みに興味を引きつける。

 まあその前の『攻殻機動隊SAC』がそうだったとはいえ、オリジナル作品をこのレベルで作っていた神山健治はやはり偉大で、とはいえやはりテレビシリーズでは話が完結していないので、何のことやらわからない。


「シャドー・ハウス」

 京アニほどとはいわないが、CloverWorksも安定して良い仕事をしている。これも、影と闇の動き方が実に見事。全体の作画レベルは実に高い。

 だがどうも主人公のドジっ娘ぶりが観ていて落ち着かない。積極的な面白さがあるわけでもなく、全話録りためて観るのに滞って、3クールが終わる頃にようやく見終えた(しかも途中をとばして)。


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