去年の夏に原作を読み出したが一旦止まり、今年の夏にもう一度と思って図書室から借りて、半ばまで読み進めたところで映画を観てみる。登場人物のイメージを映画と同期させようと。
始まってすぐ、原作にはないエピソードが続き、本格物であるはずの原作の情報量はちゃんと映画に書き込まれるのか不安になる。そんなおふざけに尺を費やしている余裕はあるのか?
だがその点については不明なまま、結局終わりまで観てしまい、そこそこの謎解きに中途半端な思いのまま、どうだったのかはわからぬまま、追いかけて原作を読み進めてみる。
驚いたことに主要な謎解きはほとんど映画に盛り込まれている。それなのにあれだけのおふざけを入れた映画は大したものだというべきか。逆に錚々たるミステリー賞を総なめにした原作は、そうしてみると以外にシンプルな構成なのだった。
それよりも映画は浜辺美波の美少女探偵のズッコケぶりが愉しく、原作がスカスカな印象であるのに比べて、愉しさが増している気もして、意外なことに映画は原作の魅力に遠く及ばないという多くの例に必ずしも則っていないのだった。
といって映画は名作、というわけでもなく、まあまあ、というくらい。かえって評判の高い原作は単独で読んでいれば、もっと面白く感じたかもしれない。
原作、映画、どちらにも肩すかしに感じたのは冒頭から出てくる「名探偵」が意外と途中で退場してしまうことで、それはもっと劇的に後で物語にからんでくるんだろうと思いきや、いささかあっさりした再登場に終わるのだった。しかもどこで再登場するかで言えば原作の方がまだしも劇的で、映画の方の改編は中村倫也を殊更に目立たせたいと考えた改編ではあるのだろうが、成功していない。
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