トム・ハンクスとサンドラ・ブロックが夫婦役なのだから堂々たるハリウッド映画で、なるほど『リトル・ダンサー』の監督なのか。長編監督作の全てがアカデミー作品賞にノミネートされているというから堂々たる大御所だ。
こちらも『リトル・ダンサー』と同じような年頃の男の子が主人公。これがすでに琴線をふるわす。『怪物はささやく』『パーフェクト・ワールド』あたりと同様、どうにもその頃の息子がダブってしまうのだ。
ネットで低評価している人は、この主人公の男の子が不快だと言う。なるほど、他人に対する配慮ができないとか自分のこだわりが強いとか癇性だとかいったキャラクターは、劇中でアスペルガーの境界だと説明されることで許容されるということもあるが、やはりともすれば不快でもある。
それでも、『ペンギン・ハイウェイ』の主人公のように生意気で知的で、常に眉根をひそめつつ父親の残した謎に迫ろうとする少年の切迫感を愛おしく思わざるをえない。
テーマとなっている9.11についてはアメリカ人が観るような感慨はない。とはいえもちろん喪失を乗り越えるドラマは普遍的なものだ。
バランスはともかくも、彼が彼なりに周囲の人に関わっていく中で相手もまたその「人間」の部分を露わにしていくドラマの描き方はうまくて、やはり良い映画だと思った。
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