2023年5月5日金曜日

『プロミシング・ヤング・ウーマン』-リアルな問題

 評価が高いという事前情報に釣られて観る。よくできている。人物描写も、捻った結末に至る展開のストーリーテリングも。

 だが評価のミソとなる「問題」提起的という部分については、ものすごく気持ちがのったというわけではなかった。それはアメリカにおける「男社会」の問題がそれほどリアルでないということでもあるし、いや、日本においてだってそれは同じだろうという反省に立ってみるほど、そもそも競争社会に生きていないからでもある。女性が差別されていることがないとは言わない。だが守るほどの権益が男性にあるというわけでもない。慣習としてそうなっている、くらいのもので、その存続を誰が望んでいるわけでもない。

 主人公の動機となるのはそういう社会構造への反発というよりは女友達の復讐を代わりに果たすという側面が強く、ここがまた充分に共感を喚ぶほどに描かれてはいないから、「上手い」という以上に心が揺さぶられるという感じにもならなかった。

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