2016年2月27日土曜日

『GONIN』(監督:石井隆)

 佐藤浩市はじめ、出演者の若さもあって、まるで「昭和」な空気だが、1995年といえば平成7年。映画の背景になっているバブル崩壊からも随分経っている。連想してしまう北野武のヤクザ映画の中では『ソナチネ』よりも後なのか。
 そう、最初から北野映画と比べて観ようという気が満々で、いわゆる任侠映画やVシネマのたぐいやアメリカのマフィアものと比較するようには観ていなかった。
 そうしてみると、北野映画のようなクールさはなくてかなりねばっこく、しつこく長回しをするなあ、とか、夜の雨と光の加減が綺麗だが、この感じは北野映画にはないなあ、とか、それなりに違いも感ずるものの、むき出しの暴力が痛いような感触と、登場人物の命がどんどん失われていくやりきれなさは似ている。
 好きな物語だとは言えないし、しつこい間の取り方にうんざりする場面もないではないが、スピード感のある演出やカメラワークの編集や上記の照明、そして役者陣の暑苦しい演技も、相当に見応えのあるすごい映画ではある。暑苦しくはないビートたけしの殺し屋はいうまでもなくすごい。

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